レビューやランキングで探す、日本全国ラーメン情報
平日 薄曇り 13:15 待ちなし 先客8名 後客1名やっと再訪できる。正直な気持ちだ。前回の醤油ラーメンの感動が忘れられず何度か再訪を思ったが前回の感動をまた得られる保証はなく、いい思い出のままの方が良いのではないかと乙女チックな事まで考えてしまい再訪を見送っていた。しかし昨夜になって思いが変わった。たとえ裏切られようともう一度逢いたい。やっぱり逢いに行こうと決めた。いい歳したオジさんをこんな気持ちにさせる憎いヤツだ。思い立ったら居ても立っても居られない。明日の朝イチで逢いに行こうと眠りに就いたがまさかの寝坊。時計は12時まえを指している。何でこんな日に限ってと自分を戒めるが、寝坊はこんな日に限った事ではないので落ち着いて身支度をして家を出る。こちらを訪れた前回は夏真っ盛りで、かき氷を目当ての女性客が多く行列していたが幾分か涼しくなってきた今日はどうだろうか。ある程度は行列も覚悟して荻窪駅に着いた。前回は初訪問で目的地が分からないので脇目も振らずに歩いた商店街だが今回は余裕もあり周囲を散策しながら向かった。数多くの飲食店が立ち並ぶ小径でラーメン店が軒を並べている。ガッツリ系から清湯塩系までジャンルも様々でラーメンヘッズには堪らない通りだ。途中の定食屋は食欲旺盛なオトコ達の活気で溢れるが乙女ごころを持った本日のオジさんには全く響かない。石畳の別れ道を左に進むと間もなくだ。店先が見えてきたが人影もなく外待ち用の丸椅子も並んでない。店内を覗いてみると空席があり待たずに入店できた。壁沿いのカウンターに案内され卓上のメニューに目をやる。これは夏場のグランドメニューで限定などは後ろの壁に告知してある。しかし今回は決めておいた塩ラーメンを口頭で注文し味玉を追加した。店内は相変わらず女性客が多いがかき氷を食べてる方は少ない。気候が涼しくなったからだろうか。前回は田舎の食堂のように見えた内装だったが改めて見ると大変失礼だった事に気づく。ちゃんとお洒落なカフェ風だった。久しぶりのご対面かと思っていたが一か月も経っていなかった。しかしそれ程にも待ち焦がれた存在だったのだ。席に着いてから心の準備をする暇もなく憧れのラーメンが目の前に現れた。そのお姿は今回も健気で美しい。器は醤油ラーメンとは違うが同じく砥部焼で内側に呉須のとくさ柄が描かれている。器を見るのも楽しみのひとつだ。その中には透明感のあるスープがなみなみと注がれ呉須の青藍色との対比が映える。その美しく輝くスープをひとくち。一瞬にして30年間の時と場所を移動した。と言うのもスープに感じたのが30年近く前に旅行で訪れた愛媛の宇和島市にある川沿いの老舗料亭と言うよりは居酒屋に近い店で初めて食べた貝の香りだったのだ。メニューにはシジミやホタテに混じってカメノテと書いてある。多分この貝の香りだと思うがこの貝は親指よりひと回り小さな貝で形が亀の手足にそっくりなのだ。見た目は二枚貝でも巻き貝でもなく、そのグロテスクな姿に身構えてしまうほど強烈だった。しかしその中身の水管のような部分の旨みは、これぞコハク酸といった旨みと香りで今でもはっきりと覚えている。他の貝類にはない独特の磯の香りも特徴だ。その磯の香りが穏やかに溶け込んだスープは優しさの極み。カエシの塩ダレも一切の角を削ぎ落としまろやか。今回の塩ラーメンも前回の醤油ラーメンと同じく足りない豊かさが表現されている。インパクトこそ無いけれどベースとなる鷄ガラスープは惜しげもなくふんだんに材料を使ってあると見られ、鶏ガラから絞り出したスープとは違い丁寧に時間をかけて雑味のないエキスだけを抽出させたスープに感じた。この繊細なスープに併せる麺もやはり繊細なストレート細麺。少なく感じるスープの中でもグルテンがもたつく事なく泳いでいる。スープの油分も控えめなので麺とスープの絡みが悪そうだが細麺ならではの麺間がスープを大量に持ち上げ口の中で一体となる。具材は丼の半分以上を占める豚肩ロース焼豚でホロホロに煮込んであると思いきや赤身の肉質と旨みはしっかりと閉じ込めてあり言うことなしのうまさ。しかしその肉本来の旨みだけに頼ることなく味付けも素晴らしい。ご飯との相性も良さそうでサイドメニューに興味のない私でも炙りちゃーしゅーめしが気になった。追加の味付玉子は味玉というよりは出汁玉。塩気や色付けを嫌い卵本来の旨みをかつおだしが補う優しい旨み。これはこれで美味しいが好みの熟成感があったらなと今回も思った。しかし好みでないはずの穂先メンマの仕上がりには驚かされる。発酵食品であるメンマの発酵臭を残した下処理の丁寧さは他店のそれとは明らかに違う。完全発酵ならではの良さを存分に引き出してある。もちろん歯ごたえと味付けも完璧。薬味は貝系の塩ラーメンを意識してか刻み青ねぎの他に紫玉ねぎのアッシェとアオサ海苔が乗っていた。この系統のラーメンにある三つ葉や水菜の青みでごまかしてないとこは良かったがアオサがスープに溶けると表情がガラッと変わってしまうので好みではなく歯応えが良い瀬戸内の板海苔の方が良かった。原価のこともあるので無理は言えないが。懐かしい記憶の中で食べ進めたラーメンは大満足のままに終わりを迎えた。スープを飲み干す時に持ち上げた砥部焼のずっしりとした重量感が満足感と比例する。こちらのラーメンの素晴らしさは最後の一滴を飲み干した時に旨みのピークを迎える点だ。インパクト有りきの世の中で滋味溢れるラーメンを作り続けてくれる店がある事を本当に感謝する一杯でした。
やっと再訪できる。正直な気持ちだ。前回の醤油ラーメンの感動が忘れられず何度か再訪を思ったが前回の感動をまた得られる保証はなく、いい思い出のままの方が良いのではないかと乙女チックな事まで考えてしまい再訪を見送っていた。
しかし昨夜になって思いが変わった。たとえ裏切られようともう一度逢いたい。やっぱり逢いに行こうと決めた。いい歳したオジさんをこんな気持ちにさせる憎いヤツだ。
思い立ったら居ても立っても居られない。明日の朝イチで逢いに行こうと眠りに就いたがまさかの寝坊。時計は12時まえを指している。何でこんな日に限ってと自分を戒めるが、寝坊はこんな日に限った事ではないので落ち着いて身支度をして家を出る。
こちらを訪れた前回は夏真っ盛りで、かき氷を目当ての女性客が多く行列していたが幾分か涼しくなってきた今日はどうだろうか。ある程度は行列も覚悟して荻窪駅に着いた。
前回は初訪問で目的地が分からないので脇目も振らずに歩いた商店街だが今回は余裕もあり周囲を散策しながら向かった。
数多くの飲食店が立ち並ぶ小径でラーメン店が軒を並べている。ガッツリ系から清湯塩系までジャンルも様々でラーメンヘッズには堪らない通りだ。途中の定食屋は食欲旺盛なオトコ達の活気で溢れるが乙女ごころを持った本日のオジさんには全く響かない。
石畳の別れ道を左に進むと間もなくだ。店先が見えてきたが人影もなく外待ち用の丸椅子も並んでない。店内を覗いてみると空席があり待たずに入店できた。
壁沿いのカウンターに案内され卓上のメニューに目をやる。これは夏場のグランドメニューで限定などは後ろの壁に告知してある。しかし今回は決めておいた塩ラーメンを口頭で注文し味玉を追加した。
店内は相変わらず女性客が多いがかき氷を食べてる方は少ない。気候が涼しくなったからだろうか。前回は田舎の食堂のように見えた内装だったが改めて見ると大変失礼だった事に気づく。ちゃんとお洒落なカフェ風だった。
久しぶりのご対面かと思っていたが一か月も経っていなかった。しかしそれ程にも待ち焦がれた存在だったのだ。
席に着いてから心の準備をする暇もなく憧れのラーメンが目の前に現れた。そのお姿は今回も健気で美しい。器は醤油ラーメンとは違うが同じく砥部焼で内側に呉須のとくさ柄が描かれている。器を見るのも楽しみのひとつだ。その中には透明感のあるスープがなみなみと注がれ呉須の青藍色との対比が映える。
その美しく輝くスープをひとくち。一瞬にして30年間の時と場所を移動した。と言うのもスープに感じたのが30年近く前に旅行で訪れた愛媛の宇和島市にある川沿いの老舗料亭と言うよりは居酒屋に近い店で初めて食べた貝の香りだったのだ。
メニューにはシジミやホタテに混じってカメノテと書いてある。多分この貝の香りだと思うがこの貝は親指よりひと回り小さな貝で形が亀の手足にそっくりなのだ。見た目は二枚貝でも巻き貝でもなく、そのグロテスクな姿に身構えてしまうほど強烈だった。しかしその中身の水管のような部分の旨みは、これぞコハク酸といった旨みと香りで今でもはっきりと覚えている。他の貝類にはない独特の磯の香りも特徴だ。
その磯の香りが穏やかに溶け込んだスープは優しさの極み。カエシの塩ダレも一切の角を削ぎ落としまろやか。今回の塩ラーメンも前回の醤油ラーメンと同じく足りない豊かさが表現されている。インパクトこそ無いけれどベースとなる鷄ガラスープは惜しげもなくふんだんに材料を使ってあると見られ、鶏ガラから絞り出したスープとは違い丁寧に時間をかけて雑味のないエキスだけを抽出させたスープに感じた。
この繊細なスープに併せる麺もやはり繊細なストレート細麺。少なく感じるスープの中でもグルテンがもたつく事なく泳いでいる。スープの油分も控えめなので麺とスープの絡みが悪そうだが細麺ならではの麺間がスープを大量に持ち上げ口の中で一体となる。
具材は丼の半分以上を占める豚肩ロース焼豚でホロホロに煮込んであると思いきや赤身の肉質と旨みはしっかりと閉じ込めてあり言うことなしのうまさ。しかしその肉本来の旨みだけに頼ることなく味付けも素晴らしい。ご飯との相性も良さそうでサイドメニューに興味のない私でも炙りちゃーしゅーめしが気になった。
追加の味付玉子は味玉というよりは出汁玉。塩気や色付けを嫌い卵本来の旨みをかつおだしが補う優しい旨み。これはこれで美味しいが好みの熟成感があったらなと今回も思った。
しかし好みでないはずの穂先メンマの仕上がりには驚かされる。発酵食品であるメンマの発酵臭を残した下処理の丁寧さは他店のそれとは明らかに違う。完全発酵ならではの良さを存分に引き出してある。もちろん歯ごたえと味付けも完璧。
薬味は貝系の塩ラーメンを意識してか刻み青ねぎの他に紫玉ねぎのアッシェとアオサ海苔が乗っていた。この系統のラーメンにある三つ葉や水菜の青みでごまかしてないとこは良かったがアオサがスープに溶けると表情がガラッと変わってしまうので好みではなく歯応えが良い瀬戸内の板海苔の方が良かった。原価のこともあるので無理は言えないが。
懐かしい記憶の中で食べ進めたラーメンは大満足のままに終わりを迎えた。スープを飲み干す時に持ち上げた砥部焼のずっしりとした重量感が満足感と比例する。
こちらのラーメンの素晴らしさは最後の一滴を飲み干した時に旨みのピークを迎える点だ。インパクト有りきの世の中で滋味溢れるラーメンを作り続けてくれる店がある事を本当に感謝する一杯でした。