レビューやランキングで探す、日本全国ラーメン情報
平日 晴天 11:30 先客なし 後客なし〝今年の店は今年のうちに〟年末になって今年オープンした未訪問店を慌てて廻っているのだが終わりが見えてこない。そりゃそうだ。都内だけでも今年オープンしたラーメン店は600軒を超え、日本全体だと2500軒を超える新店がオープンしているらしい。そうなると毎日7食をこなさないと追いつけない計算になるので今さら慌てても仕方ないが矢継ぎ早に事を進めている最中なのだ。そこで本日は某タイヤメーカーのグルメガイドブックの星付き店がひしめく大塚 巣鴨界隈で検索をかけてみると今年11月15日オープンのこちらがヒットした。11時半開店前の現着を目指して大塚駅北口で友人と待ち合わせたが約束の時間になっても現れない。「きっと君は来ない」と時期を過ぎたクリスマスソングを口ずさみながら一人で店に向かう事にした。駅前にあるクリスマスを過ぎても片付けられてないツリーを見ながら思った。韓国ではお正月を過ぎても街中にクリスマスツリーが飾られてある。その理由は旧暦とかではなく、ただ単にせっかくなのに勿体ないからという事らしい。実に分かりやすい理由だ。友人が来なかったのも面倒くさいという分かりやすい理由なのだろうか。昼間の北口方面を歩くのは初めてかも知れない。夜も数回しか来たことがないので全く知らない街に見える。こんな時間から怪しいネオンが煌めく通りを進むとラーメン店らしからぬ外観のこちらを見つけた。開店時間ちょうどの来店になったが行列もなく入店し券売機の前で品定め。3タイプあるスープの内の屋号を冠にしたラーメンは本日は品切れのようだが前日から予習しておいたネオクラシックというネーミングに惹かれた味玉入りの醤油系のお題を発券しカウンターに座る。店内はまるでビストロのようだと思ったら夜はワインバーとして営業されている二毛作店らしい。それは店内の内装を見ても明らかでダークな木目調のカウンターや奥まった所にあるテーブル席はワインを楽しむのに相応しい雰囲気だ。また大型のワインセラーや磨き上げられたボルドー型のワイングラスが並ぶカウンターからもそれがうかがえる。そんな小洒落た店内をツーオペで仕切る。奥の厨房にはレストラン仕様のスチコンや厨房機器が並んでいる。夜のメニューも充実してそうでラーメンへの期待が高まる。そんな事を思ってワクワクしていると着席して3分ほどで我が杯が到着した。口縁の反り返った切立丼の中の姿はまさにネオクラシックな表情で迎えてくれた。インパクトはあるが奇をてらった感はない全体の半分以上を覆い隠す焼豚が強い印象を残す。目の前に来た時に思わず喉が鳴ってしまうほどの造形美だ。まずはどこまでも清く澄んだ赤朽葉色のスープをひとくち。特に際立ったものを感じないスープだが、ひとつだけ言えるのは旨いという事。久しぶりに本当に旨いと思えるスープに出会った。しっかりとした動物系のコクがある訳では無く、個性的な魚介系の香りがある訳でも無いのにやたらと美味しい。きっとグルタミン酸やイノシン酸にグアニル酸の全てが揃っているのに何一つとして出しゃばってない天然の旨みのバランスが見事に構築されているのだろう。その自然で優しいスープに輪郭を付ける醤油ダレも香りや塩気や酸味を主張せずに表現している。かと言ってぼやけた感じはしない捉えどころのないスープは書き手泣かせの優等生だ。その自我を表に出さないスープに合わせる麺は非常に個性に富んでいる平打ち麺だ。中細平打ち麺と言う表現が正しいかは分からないが私の知ってる平打ち麺の中では、かなり細いタイプだ。その麺は平打ちならではの麺のエッジもありながら優しい口当たりも兼ね備えている不思議な食感だ。エコ箸ではつかめないほどに滑らかな麺肌をしているが歯応えは十分にある。口当たりから舌触り、歯応えから喉ごしまで全てに違う表情を見せてくれる変幻自在な麺の魅力に一瞬で堕ちてしまった。噛まずとも香る小麦の香りは食欲を刺激し、噛めば花咲く小麦の甘みに食欲は満たされる。この唯一無二の麺の旨さを実感している裏には、この平打ち麺の旨さを引き出すスープの包容力がある事を思い知った。具材は見た目のインパクトを代表する豚肩ロースのレアチャーシューが美しいロゼ色を放つ。提供時からスープの熱で夕暮れの太陽のように徐々に色を変えていくほどに薄くスライスされているので、お好みのレア加減で食べる事が出来る。まずは先にレア状態で食べてみるとシルクのような舌触りの肉質を楽しめる。しっかりとマリネされたスパイスの香りがあるので生っぽさは感じないのが良い。その後でスープに浸してしっかりとタンパク質を固化してから食べると赤身の繊維がハッキリとした食感を与えてくれる。このレアチャーシューなら追加しても良いと思ったが枚数を増やすのではなく、どうにか厚切りで食べてみたいという欲が出た。追加した味玉はおしとやかな味付けだが、ほんのりした醤油香と爽やかなローズマリーのような香りが特徴的。熟成途中ではあるが黄身の水分が抜け始めたゲル状のネットリ感が素晴らしいが、あと半日間の熟成で完熟した味玉を望んでしまった。それと冷蔵保管の冷たさがなければ完璧なのにと高望みしてしまうほどにブラッシュアップを期待したくなる味玉だった。細切りメンマは一本一本の繊維はしっかりしているが噛まずとも解けていくような感覚は、大げさに言えば上質のフカヒレが口の中で解けていくのに似ている。そのフカヒレとメンマに共通する大事な点は素材の良さもさる事ながら味付けの良し悪しが最も左右するだろう。その大切な味付けだが、他の具材に比べると手仕事感が伝わってこない。既製品に思えるほどに非の打ち所がないメンマだが愛着は湧いてこない。薬味は青ねぎの小口切りが少しだけ添えてあるが質の良いネギの風味が穏やかなスープに香りをプラスし、野菜ならではの食感が麺に対するアクセントを生んでいる。ラーメン店の海苔で感動する事はあまりないのだが、こちらの海苔は格別だ。スープに溶けそうで溶けない柔らかな舌触りを持ち、磯の風味も溢れんばかりだ。上質の海苔特有の色と密度の濃さは他店で見る海苔とは明らかに違う。この海苔ならスープに溶け出したとしても磯の香りをアピールするだろう。気が付けば一気に平らげ丼の底が見えていた。確かな素材を贅沢に使って取ったスープだと思えるのでスープの量としては少ないが原価率ゆえ仕方なくも思える。麺量もデフォルトでは満足感を得ない人もいるだろうが精神的な満腹感は大きい。また一軒の我が名店を見つけてしまった。ワインバーの昼営業という事で訪問前はあまり期待していなかったが大きく裏切られた。料理の技術がしっかりしているのは確かなので更なる進化を望んでしまう。今週は本鵠沼のラーメン店やこちらなど二毛作店が大当たりだったが、こんな店が近所にあったらワイン片手に少しつまんで〆はラーメン。これは入り浸ってしまうだろうなと近くに住んでなくてホッとした一杯でした。
〝今年の店は今年のうちに〟
年末になって今年オープンした未訪問店を慌てて廻っているのだが終わりが見えてこない。そりゃそうだ。都内だけでも今年オープンしたラーメン店は600軒を超え、日本全体だと2500軒を超える新店がオープンしているらしい。そうなると毎日7食をこなさないと追いつけない計算になるので今さら慌てても仕方ないが矢継ぎ早に事を進めている最中なのだ。
そこで本日は某タイヤメーカーのグルメガイドブックの星付き店がひしめく大塚 巣鴨界隈で検索をかけてみると今年11月15日オープンのこちらがヒットした。11時半開店前の現着を目指して大塚駅北口で友人と待ち合わせたが約束の時間になっても現れない。
「きっと君は来ない」と時期を過ぎたクリスマスソングを口ずさみながら一人で店に向かう事にした。駅前にあるクリスマスを過ぎても片付けられてないツリーを見ながら思った。韓国ではお正月を過ぎても街中にクリスマスツリーが飾られてある。その理由は旧暦とかではなく、ただ単にせっかくなのに勿体ないからという事らしい。実に分かりやすい理由だ。友人が来なかったのも面倒くさいという分かりやすい理由なのだろうか。
昼間の北口方面を歩くのは初めてかも知れない。夜も数回しか来たことがないので全く知らない街に見える。こんな時間から怪しいネオンが煌めく通りを進むとラーメン店らしからぬ外観のこちらを見つけた。
開店時間ちょうどの来店になったが行列もなく入店し券売機の前で品定め。3タイプあるスープの内の屋号を冠にしたラーメンは本日は品切れのようだが前日から予習しておいたネオクラシックというネーミングに惹かれた味玉入りの醤油系のお題を発券しカウンターに座る。
店内はまるでビストロのようだと思ったら夜はワインバーとして営業されている二毛作店らしい。それは店内の内装を見ても明らかでダークな木目調のカウンターや奥まった所にあるテーブル席はワインを楽しむのに相応しい雰囲気だ。また大型のワインセラーや磨き上げられたボルドー型のワイングラスが並ぶカウンターからもそれがうかがえる。
そんな小洒落た店内をツーオペで仕切る。奥の厨房にはレストラン仕様のスチコンや厨房機器が並んでいる。夜のメニューも充実してそうでラーメンへの期待が高まる。そんな事を思ってワクワクしていると着席して3分ほどで我が杯が到着した。
口縁の反り返った切立丼の中の姿はまさにネオクラシックな表情で迎えてくれた。インパクトはあるが奇をてらった感はない全体の半分以上を覆い隠す焼豚が強い印象を残す。目の前に来た時に思わず喉が鳴ってしまうほどの造形美だ。
まずはどこまでも清く澄んだ赤朽葉色のスープをひとくち。特に際立ったものを感じないスープだが、ひとつだけ言えるのは旨いという事。久しぶりに本当に旨いと思えるスープに出会った。しっかりとした動物系のコクがある訳では無く、個性的な魚介系の香りがある訳でも無いのにやたらと美味しい。きっとグルタミン酸やイノシン酸にグアニル酸の全てが揃っているのに何一つとして出しゃばってない天然の旨みのバランスが見事に構築されているのだろう。その自然で優しいスープに輪郭を付ける醤油ダレも香りや塩気や酸味を主張せずに表現している。かと言ってぼやけた感じはしない捉えどころのないスープは書き手泣かせの優等生だ。
その自我を表に出さないスープに合わせる麺は非常に個性に富んでいる平打ち麺だ。中細平打ち麺と言う表現が正しいかは分からないが私の知ってる平打ち麺の中では、かなり細いタイプだ。その麺は平打ちならではの麺のエッジもありながら優しい口当たりも兼ね備えている不思議な食感だ。エコ箸ではつかめないほどに滑らかな麺肌をしているが歯応えは十分にある。口当たりから舌触り、歯応えから喉ごしまで全てに違う表情を見せてくれる変幻自在な麺の魅力に一瞬で堕ちてしまった。噛まずとも香る小麦の香りは食欲を刺激し、噛めば花咲く小麦の甘みに食欲は満たされる。この唯一無二の麺の旨さを実感している裏には、この平打ち麺の旨さを引き出すスープの包容力がある事を思い知った。
具材は見た目のインパクトを代表する豚肩ロースのレアチャーシューが美しいロゼ色を放つ。提供時からスープの熱で夕暮れの太陽のように徐々に色を変えていくほどに薄くスライスされているので、お好みのレア加減で食べる事が出来る。まずは先にレア状態で食べてみるとシルクのような舌触りの肉質を楽しめる。しっかりとマリネされたスパイスの香りがあるので生っぽさは感じないのが良い。その後でスープに浸してしっかりとタンパク質を固化してから食べると赤身の繊維がハッキリとした食感を与えてくれる。このレアチャーシューなら追加しても良いと思ったが枚数を増やすのではなく、どうにか厚切りで食べてみたいという欲が出た。
追加した味玉はおしとやかな味付けだが、ほんのりした醤油香と爽やかなローズマリーのような香りが特徴的。熟成途中ではあるが黄身の水分が抜け始めたゲル状のネットリ感が素晴らしいが、あと半日間の熟成で完熟した味玉を望んでしまった。それと冷蔵保管の冷たさがなければ完璧なのにと高望みしてしまうほどにブラッシュアップを期待したくなる味玉だった。
細切りメンマは一本一本の繊維はしっかりしているが噛まずとも解けていくような感覚は、大げさに言えば上質のフカヒレが口の中で解けていくのに似ている。そのフカヒレとメンマに共通する大事な点は素材の良さもさる事ながら味付けの良し悪しが最も左右するだろう。その大切な味付けだが、他の具材に比べると手仕事感が伝わってこない。既製品に思えるほどに非の打ち所がないメンマだが愛着は湧いてこない。
薬味は青ねぎの小口切りが少しだけ添えてあるが質の良いネギの風味が穏やかなスープに香りをプラスし、野菜ならではの食感が麺に対するアクセントを生んでいる。
ラーメン店の海苔で感動する事はあまりないのだが、こちらの海苔は格別だ。スープに溶けそうで溶けない柔らかな舌触りを持ち、磯の風味も溢れんばかりだ。上質の海苔特有の色と密度の濃さは他店で見る海苔とは明らかに違う。この海苔ならスープに溶け出したとしても磯の香りをアピールするだろう。
気が付けば一気に平らげ丼の底が見えていた。確かな素材を贅沢に使って取ったスープだと思えるのでスープの量としては少ないが原価率ゆえ仕方なくも思える。麺量もデフォルトでは満足感を得ない人もいるだろうが精神的な満腹感は大きい。
また一軒の我が名店を見つけてしまった。ワインバーの昼営業という事で訪問前はあまり期待していなかったが大きく裏切られた。料理の技術がしっかりしているのは確かなので更なる進化を望んでしまう。今週は本鵠沼のラーメン店やこちらなど二毛作店が大当たりだったが、こんな店が近所にあったらワイン片手に少しつまんで〆はラーメン。これは入り浸ってしまうだろうなと近くに住んでなくてホッとした一杯でした。