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「塩煮干そば ¥700」@柴崎亭の写真平日 晴天 20:20 店内満席 待ちなし

〝新春うまいものめぐり〟

と題して進めてきた今回の企画も、そろそろ新春ムードから抜け出さなきゃいけないと感じる時期になってきた。当初は新年の一週間限定で、昨年内に食べて自分の美味しいと思う採点基準の85点を超えた店だけを巡るといった贅沢な年始めを過ごしてきた。新規開発を怠って好みのラーメンしか食べてないので、心も胃袋も満たされてばかりのこの企画にも終わりを告げなければと思い始めたところだ。

そこで本日は〝新春うまいものめぐり〟の最終日として、こちらへの訪問を決めた。昨年は何度もお世話になった名店だが、たったの一度だけ不本意なラーメンに当たった事がある、曰く付きの店なのだ。それは過去何度も85点超えをしてくれる店なのに、初秋に食べた「塩煮干そば」が、カエシの入れ忘れではないかと思うくらいに味気のないスープだったのだ。その確認のために今回は同じメニューを注文して真意のほどを知ろうと決めたのだ。

もし今回も同じようなスープだったら〝新春うまいものめぐり〟のフィナーレとしては最悪の結末となる事も覚悟して、京王新線にて最寄りのつつじヶ丘駅に着いた。月イチ程度の頻度で訪れた駅前なので、住みなれた住民のように慣れた足取りで店へと向かう。

店先の外待ちベンチには並びは無いが店内は満席のようなので、ひとまずは外で待機するも間髪入れず入店の案内があった。こちらの魅力ひとつは驚きの回転率の良さもある。駅からも徒歩数分で外待ちもせず、寒い思いをしないままに入店となり券売機の前へ。ここで迷うことなく因縁のタイトルを発券しカウンターに座る。

店内を眺めると、ご近所さまとおぼしきご夫妻や若者カップルで賑わっている。そんな地元に根付いた店内を三人体制で回している。調理場のダクトのフードには数cc単位のレードルが、きちんと並べられている。いくつものスープを作り出すためには必要なレードルの数なのだろう。その奥に見える 15種類以上のラーメン丼の陳列も、こちらならではの圧巻の景色だ。

そうこうしていると着席して3分程の超特急で我が杯が到着した。小さな受け皿の上の白磁の切立丼の中の姿からは神々しい気品が漂っている。どこまでも澄み切ったスープからは汚れなど全く感じない。前回の因縁の相手とは思えない程に堂々と輝いている。

まずは前回のスープが間違いであったと祈るような思いで、一点の曇りもないスープをひとくち。若干オイリーなスープが舌の上を通り抜けた瞬間に確信した。今回は、ちゃんと味がする。澄んだスープからは想像もつかない程に奥行きのある味わいに歓びが隠せない。下地の鶏ガラスープの上に煮干油を合わせるタイプなので、ひとくち目は豊かな煮干しの香味を感じられるが、煮干しを炊いて取ったスープではないので苦味やエグ味は全くない文化部系の煮干しスープだ。塩ダレも塩醤油のようなまろやかさを打ち出しているので尖った塩気もなく穏やかだ。

麺は©️マークで守られても良いのではないかと思える程の美しさを誇る中細ストレート麺で麺上げまで55秒くらい。きれいに揃えられた麺線は毛糸玉のようで、見た目の美しさだけでなく、食べやすさも備えている。その一端を箸で持ち上げ口に運ぶと、香味油をまとった麺は潤滑油の力を借りてスルスルと口の中に滑り込んでくる。歪みのないストレート麺の口当たりを楽しんだ後、やや硬めの麺を噛みつぶすとパツッと音が聞こえそうな歯切れ良さを見せる。それと同時にあふれる小麦の香りと甘みを楽しみながら、スープで追いかける至福の作業を繰り返す。

具材はスライス仕立ての豚肩ロースの低温焼豚が鮮やかなロゼ色を放つ。電動スライサーによる。かなりの薄切りなので好みのタイミングを見極めなければならない。あまり放置しておくと、せっかくのレア感は熱々のスープに無抵抗のままに加熱されてしまう。下味も控えてあるので豚肉の赤身の旨さも堪能できる。

極太メンマは今回も安定した仕上がり。手作り感はない業務用味付けメンマのようだが、添加物が入ってないのは有難い。繊維は感じるが柔らかく、口には残らないのが特徴。

薬味はシンプルに青ねぎの笹切りのみ。切り口の水々しい青ねぎは爽やかな香りも良く鮮度の良さが伝わってくる。

熱々ながらも一気に麺と具材を食べきった。固体の無くなったスープの液面からは、固体にまとわって吸い上げられた煮干油は、ほとんど見られなくなっている。必然的に煮干しの香りは薄れて、鶏ガラスープが際立ってきた。リッチな煮干しスープで始まったが、最終的には、ほのかに煮干しの香る塩清湯スープを飲んでいる感覚で終わりを迎えた。

前回の塩煮干そばが嘘のような満足度の高いラーメンだった事に安堵すると共に、あの時のスープに対価を支払ったことが悔しくも思えてきた。今度どこかでまた同じような境遇にあったら、遠慮せずに店員さんに味見をして確かめてもらおうと、心に決めた一杯でした。

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