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「中華そば 並 ¥750」@中華そば専門店 味幸 新宿御苑店の写真平日 晴天 10:40 待ちなし 後待ち1名 後客4名

〝ニューオープン狙いうち〟

♪ まこ... 甘えてばかりで、ごめんネ
みこ..は、とってもうれしいの

こんな懐かしいフレーズを思わず、口ずさんでしまうような新店を見つけてしまった。

そうとなれば訪問意欲に火がついてRDBにてお店情報を確認してみる。どうやら八王子の人気店初となる暖簾分けのようだ。そちらは未食なのだが、向かいの新店に去年の夏に行った時に店構えは見た記憶がある。たしか高尾駅からバスを乗り継いで向かった秘境の地だった気がする。今回の親族による暖簾分けは都内屈指の激戦区である新宿御苑前で勝負を挑んでくるという事は、かなりの勝算があっての出店だろう。そんな強い意気込みに期待は高まり初訪問をきめた。

オープン特需を予想して11時開店前の現着を目指して、乗り換え要らずの副都心線で新宿三丁目駅から歩いて向かう事にした。E5 出口を出て新宿御苑に吸い込まれていく高齢者たちに紛れて15分ほど進むと、大通りからは少し入った小さな十字路の近くに真新しい看板を掲げた店を見つけた。開店30分前なので並びは発生しておらず、先頭にて待機する。店先にはメニューではなくラーメンの写真が貼られてあり「八王子36年の銘店」の文字が自信の表れを示している。

と、ここまでは数日前の話なのだ。

実は先日に訪れた時に何かの仕込みのトラブルがあったのだろうか、店先で店主さんが電子タバコを咥えながら八王子の本店らしき相手と電話で大声で会話していた。その様子は飲食店の店主としては褒められた姿ではなかったが、よほどのトラブルだったのだろう。すると店内から他のスタッフが出てきて「開店準備が間に合わず何時にオープンできるか分からないんです」との説明を受けて、仕方なく断念した経緯があったのだ。そこで日を改めて再び初訪問のために同じ場所に並んでいるのだ。

本日は再チャレンジで開店20分前の現着。行列発生もなく先頭にて待機開始となった。臨時休業の貼り紙などもなく、店内では順調そうに開店準備が進んでいる様子だ。開店の5分前になると、ようやく後列が1人だけ増えたが少し寂しい並びに思えた。しかしながらこの店先には軒先がなく、夏場の日差しや雨の日には行列するのが大変そうな待機場所だ。

定刻になると真新しい白のれんが掛けられて待望のオープンとなった。券売機はなくキャッシュレスの波が押し寄せる時代に逆らうような姿勢もカッコよく映る。外国人観光客が多いこの界隈で、外国語メニューなどもない置いていない強気なスタイルが通用するだろうかと心配にもなる。セルフで水を汲みアイランド式カウンターに座り店内を物色する。ゆったりとテーブル席も設けられた広い店内を、本日は若さみなぎる男性陣が四人体制で回している。客席と厨房が隔離されているので調理工程が眺められないのが残念だが、隣客との間隔も広いのは食べ手としてはありがたい。

若者スタッフ達らしい最新 J-POPに耳を傾けながら待っていると、着席して4分の早さで我が杯が到着した。その姿は口縁には雷紋柄、胴には龍が描かれた高台丼の中で〝らしさ〟を醸し出している。本店は未食ながらも八王子郊外の景色が浮かんでくるような表情に、知らないはずだが懐かしさを感じてしまった。

そんなノスタルジックな姿に癒させながらレンゲを手に取った。まずは赤銅色のスープをひとくち。液面にレンゲを押し込んでみると立ち昇る湯気の中には醤油と玉ねぎの香りが先頭を切ってくる。この時点では出汁の香りは感じられない。いざ口に含むと初めて豚由来の動物系のコクを感じた。それは表層に張られたラードのコクのように思われ、スープからといった感じではなかった。味わい自体も醤油と玉ねぎが先行して口に広がり、香ばしさにも似た旨みとなって現れる。ベースには鶏ガラと豚ガラが主体と思われるガラガラ系清湯スープが潜んでいるようだが、人見知りなのか表に顔を出してこない。代わりにアピールしてくるのが不得手な旨味だったのが残念だが想定内として事を進める。

麺は中細ストレート麺を採用されていて麺上げまでは70秒くらいだろうか。持ち上げた箸先からは低加水らしい軽快さが伝わってくる。提供後すぐの状態でもスープの色素を吸って、醤油色に染まった麺を一気にすすり上げてみる。ハリのある麺質が唇をくすぐったかと思うと、暴れるような口当たりを感じない優等生的な中細麺だ。噛めばボソッとした歯切れが特徴的で、麺を噛みつぶすたびに小麦の甘みがじんわりと染み出してくる。スープや醤油ダレの旨味が甘みに変わるので、口の中では甘みと甘みが重なる事で不思議な調和が生まれていた。この甘みの虜になると、中毒性ファンが多くなるのも納得できるスープに仕立てられている。

具材はメニューのチャーシュー麺にはバラ肉となっていたが、基本の中華そばには豚モモ肉が使われていた。ローストタイプ焼豚で、しつこい脂身が苦手な私には有難い部位だが、赤身の旨味も抜けてしまった焼豚にはパサつきや物足りなさも感じてしまった。硬めの歯応えが生み出すはずの赤身の持ち味は無くなっていて残念。スープと一緒に楽しむタイプの焼豚だった。

メンマは超細裂きメンマで他店ではお目にかかれない逸品。ガングロ褐色の見た目からは想像も出来ない、しなやかな口当たりと優しい味付け。これを手仕事と言わずに何を手仕事と言えるだろうか。繊細ながらも小さな歯応えが集まる事で絶妙な食感を生んでいる。子供の頃に読んだ絵本の、小さな力が集まれば巨大な敵にも勝てる事を教えてもらった「スイミー」を思い出した。こちらの代名詞のひとつであろうメンマには感動してしまった。これを食べた時にメニューのバラチャーシュー麺とメンマラーメンが同価格なのも納得できた。

薬味も〝らしさ〟を主張している玉ねぎのみじん切りが基本でも多めに添えてあった。これは八王子ラーメンを代表する薬味なだけに期待してしまったが〝玉ねぎ愛〟を感じることは出来なかった。それは丁寧に手切りされたものではなく、フードプロセッサーで刻まれた玉ねぎが生んだ舌触りの悪さだった。不揃いな大きさは食感の違いを生んで良いが、刻まれずにつながってしまった大きな玉ねぎがいくつも入っていては、食感が悪くなってしまうばかりだった。玉ねぎの持つ甘みを引き出すよりも刺激のある辛味を出すためにフードプロセッサーを使用しているのだろうが、せめて盛り付けの時に避けてほしい欠片が入っていた。

小さな海苔はスープに浮かんでいる時から溶け出してしまうほど繊細な口当たりで、香りも高くて良かった。昔ながらの象徴でもあるナルトも今回もパスした。

中盤以降も低加水の麺質はスープを吸って褐色みが濃くなってきた。終盤には旨味の強さに負けてしまい箸とレンゲを置いた。

私には合わなかったが外国人観光客にも食べてもらいたいと思ったラーメンだった。ガイドブックに掲載されてインバウンド行列が絶えないラーメンには東京らしいラーメンがないと思う。私も海外に行けば現地の方が集まるレストランに行きたいと思うように、本当の日本のラーメンの味わいを楽しんでほしいと思った一杯でした。

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