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「とろ玉醤油らーめん ¥850」@麺屋正路の写真土曜日 雨天 13:45 店内満席 待ちなし 後待ち3名

昨晩は八王子にオープンしたばかりの新店めぐりの為に荻窪の常宿を予約して突撃態勢は万端だったのだが、荻窪の夜にも魔物が潜んでいた。

午後10時にチェックインを済ませ、いつもならば施設内のバーで飲み放題プランを楽しむはずだったのだが冒険心に火がついてしまった。過去に何度もこのホテルを利用しているが、バーのドリンク類の充実ぶりに荻窪の夜のネオン街に出向く必要がなかったのだ。

しかし今回は時間帯が早い事もあり、風呂にも入らずに夜の荻窪へと繰り出してしまったのだ。つまりは〝大浴場〟には向かわずに〝大欲情〟へと向かってしまったのだ。そのふしだらな考えが災いとなって、荻窪ナイトにどっぷりとハマってしまい〝キャビンアテンダントコスチュームプレイ〟のバーで午前3時過ぎまで呑んでしまった。しかもファーストクラスシートという VIPルームで女の子も座って飲める席で、風営法に引っかからないか心配になりながらも大いに楽しんだ。その結果、本日の八王子行きを予定していた起床時間を大きく過ぎた昼すぎに目が覚めた。

そこで八王子の新店めぐりを諦めて荻窪駅周辺での未訪問店さがしに切り替えた。RDBを荻窪に絞り込んで検索している中に〝無化調〟を謳ったコチラを見つけた。所在地も駅から至近と雨の中でも好都合とありがたく初訪問を即決した。のんびりと大浴場で朝風呂ならぬ昼風呂を浴びると、ホテルをチェックアウトして店を目指した。

荻窪に来た際には必ずと言って良いほど通りかかる商業ビルの抜け道に白提灯の揺れる店先を見つけた。何度も通った道なのにラーメン店の存在を知らなかったのは店舗がビルの二階にあるからだろうか。普段なら素通りしてしまいそうな階段を上がっていくと、秘密基地のような佇まいのコチラがあった。ガラスドア越しに店内を見ると満席のようなので店頭に置かれた外待ち席にて待機をはじめる。ドア越しに見える券売機で品定めをするが、土日は〝特製〟の販売は残念ながら無いようだ。回転率や効率を上げるための策なので仕方なく諦めて、味玉ならぬ〝とろ玉〟入りにしようと決めた。

ちょうどタイミングが悪かったのか、なかなか席が空かず15分ほど待つとようやく食べ終えたカップル客が退店して入店となった。小型の券売機でお目当のボタンを押してカウンターに座り店内を見渡す。L字カウンターだけの店内を店主さんお一人で切り盛りしている。カウンター背後のサーバーからセルフで水を汲んで卓上のウンチクを拝見すると、スープによって麺も変えられたりと随所に強いこだわりが見られる。調理、配膳、後片付けと全てを店主さんが行なっているので回転率は早くはなさそうだ。そんな忙しい中でも丁寧な接客と店内に流れるジャックジョンソンの音色に癒されていると、着席して8分で我が杯が到着した。

その姿は白磁の八角丼の中で美しい褐色のグラデーションを見せている。過度な演出や派手さのない全体的な透明感に引き込まれるようにレンゲを手にした。

まずは栗梅色のスープをひとくち。表層を覆った多めの鶏油膜にレンゲを射し込むと、明確な鶏主体の香りが湯気に混ざって立ち昇った。ウンチクには親丸鶏でとられたスープとなっているが、香りだけでも廃鶏らしい重みがあり鶏出汁の濃さを想像できる。レンゲですくい上げたスープにも、かなりの鶏油が含まれているのでオイリーな口当たりを思いながら口に含んでみる。すると意外にもサラリとした油質を唇で感じると、思った以上の鶏出汁の旨みが口に広がった。その旨みの中に含まれる優しい甘みは香味野菜からのものだろうか、舌にストレスを感じさせない穏やかなスープに驚いた。カエシの塩梅も程よく一口目では塩気が足りないのではと心配してしまったが、後々になって最後まで飲み干す事を計算された塩分濃度である事が分かった。

麺上げまでジャスト70秒の中細ストレート麺を箸で持ち上げてみると、切刃のエッジがしっかりと残る形状と、透明感のある麺肌に薄っすらと全粒粉のフスマが見られる外注麺を採用している。とても美しい麺質を見せる箸先からは強いハリを感じる中細麺を迷う事なくすすり上げると、中細麺のエッジがシャープな口当たりを感じさせてくれる。それでいてしなやかさも感じるのは茹で時間のタイミングが絶妙である証だろうか。シャープなエッジとシルクタッチな口当たりを共存させる麺からは、外注麺ではあっても他に類をみない個性を感じた。その上に噛み応えや歯切れの良さも兼ね備えた良麺を選ばれた店主さんの目利きにも感心してしまった。

具材のチャーシューは鶏ムネ肉の低温調理が切り方を変えて二種類添えてある。まずは主役たるべき大判にカットされたレアチャーシューは肉厚でレア加減も申し分なく半ナマチャーシューとは別次元の仕上がりを見せる。しっかりとした下味のソミュール液が浸透しており、低温調理が何たるかを熟知されている。きちんと鶏ムネ肉のタンパク質が熱処理されているからこその歯応えや、香辛料の利いた下味が見事に旨みを足しているレアチャーシューには出会うことが少ない逸品だ。さらに食材を大切に思うが故の鶏ムネ肉の切り落とし部分も、短冊状にカットされて具材として添えてあった。そこには食材に対する愛情を感じるが、なぜか黒コショウが振ってあるのが疑問だった。淡白な鶏ムネ肉にインパクトを付けたかったのかもしれないが、私には不要なアクセントだった。ただでさえ切り落とし部分はソミュール液の浸透が強いので味が強く乗っているので、後付けの香辛料は不必要だった。

追加した味玉はメニュー表記にも〝とろ玉〟となっているので熟成感を求めてはいけないのは承知しながらも、独自の味玉論からはかけ離れていて残念ではあった。しかし控えめながらも浸けダレの浸透はしており、欲を言えばもう半日すれば黄身のゲル化も進んだろうと勝手な望みを思ってしまった。しかし提供温度も温かく、仕事の手数の多さが垣間見られた。

太メンマには〝マタオマ系〟を思ってしまったが、業務用味付けメンマとは全く違う味付けを施してあった。程よい食感も食べ進めるテンボを変えてくれて、無くてはならない具材のひとつとなってくれた。

訪れた時間帯が遅かったせいかもしれないが、薬味の青ネギの切り口は乾いており口当たりの悪さばかりが際立っていた。そのため香りも感じる事なく薬味としての本領を見られずに終わった。

それでも中盤からもスープの清らかさがリードし続けてくれて、気が付けば麺と具材は完食していた。満を辞してスープの飲み干そうとした時にも、不要に振られた黒コショウが穏やかであるはずのエンディングの邪魔をしてしまった。

本当に個人的な主観ではあるが、味を大きく変化する要素を持つ香辛料は基本では控えるべきではないかと思ってしまった。もしそれがスパイシーや激辛を謳ったメニューであれは納得できるが、今回は基本のメニューだっただけに少しだけ採点を下げてしまった一杯でした。

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