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「地魚塩らぁめん ¥680」@江ノ島らぁ麺 片瀬商店の写真日曜日 晴天 14:00 店内満席 外待ち1名 後客4名

〝ニューオープン 探検記〟

居ても立っても居られないとは、まさにこの事である。先程も神奈川 江ノ島にオープンした同新店に、遅ればせながら初訪問を果たしてきたとこなのだが、2時間もしないうちに店の前に戻って来てしまった。

さっきは大満足で店を出たあと、今夜の楽しみにしていた平塚のサウナへと向かう前に江ノ島散策を楽しんでいた。日曜日の中年おじさん一人には、とても似つかわしくないオシャレなカフェに飛び込んでコーヒーを飲んでいた。江ノ島から平塚までの移動手段などを調べながら、通りを歩く人や街並みを眺めていると、どうしても先程のラーメンが忘れられずに浮かんでくる。そう思うと不思議と前食から2時間も経っていないのに、老いたはずの胃袋が鳴るくらいに腹が減ってきた。ならば店に戻って食べれば良いのではないかと、単純明快な答えを出した。

こちらが通し営業との情報は先ほどリサーチしておいたので、午後2時を迎えようとしていたが慌てる事なく店に引き返した。さっきも通った道を進み店先に着くと、店頭に飾られた一枚板の看板が魚の形に見えてきた。もはや鮮魚中毒にでも冒されてしまったのだろうかと、昨日までの鮮魚系への苦手意識は消えて無くなっていた。昼時のピークは過ぎていたが、まだ店内は満席で外待ち二番手としてイスに座って待機する。

今回の客層は5歳の男の子を連れた家族づれがカウンターに座っており、取り分けのラーメンを美味しそうに食べている。小さな子供が席を一つ使う事にも嫌な顔ひとつ見せず、ゆっくりと食事が出来る環境を店側が作っている。この事が地元の家族客にも愛される理由のようで、前食時に感じたアットホームな雰囲気は見せかけではなく本物だった。決して誰も急かす事なく子供たちが食べ終えるのを待ってから私の順番となり、恥ずかしながら本日2度目の入店となった。

店内に入ると常に来客が続いている上に、印象の薄い私の再訪には、お二人とも気付いてないようで助かった。今回は窓側のカウンターに案内されたので、先程とは違う店内風景が楽しめた。白木調のカウンターの高台には様々な器が置かれてある中に、大相撲の優勝力士が祝い酒を飲む大きな盃のような器も用意されている。つけ麺用の器だと思われるが不思議な事に前回も今回も、つけ麺を食べている客が一人もいないので正確な情報ではない。そんな器をはじめ、店の至る所に遊び心があふれているのも特徴的だ。カウンター上の壁には魚の骨の絵が描かれてあったり、卓上メニューや店内ポップにも愛くるしい書体が使われてあったりする。さらには鮮魚をイメージさせるように、昔ながらの寿司屋で使われている魚字の湯呑み茶碗を箸立てとして代用している。まだまだ二度の来店では、全てのオモシロ要素を発見しきれないくらいに潜んでいそうだ。

そんな事を考えている間に、あらかじめ決めておいた前食の醤油系とは違う、塩系を追加なしでシンプルに口頭注文を済ませた。一心不乱にラーメン作りに集中している店主さんの背中に大きな信頼を感じながら待っていると、着席して5分で我が杯が到着した。

その姿は本日二度目の登場となる個性的な切立丼の中で、相変わらずの素朴な景色を見せている。追加トッピングをしてないせいもあるが、派手さや飾り気のない表情が落ち着きを与えてくれる。シンプルではあるが決して貧相なのではなく、あくまで少数精鋭といった感じの具材陣を盛り付けてある。いずれは再訪するだろうと思ってはいたが、こんなにも早く再会できた喜びを、抑えきれずにレンゲを手にしていた。

まずは陰りのある伽羅色のスープをひとくち。レンゲを沈めるまでは清湯スープに乳化した油膜が張っているのか、スープ自体が乳化しているのか判断しづらい初見には謎が多かった。先程の醤油系も半濁こそしていたが、それほどの乳化を感じなかったので見た目の印象が随分と違っていた。その真相を確かめるべく、スープに音を立てぬようにレンゲを忍ばせた。すると濃度の高さを知らしめるように、まったりとしながらレンゲの中に注がれてきた。その瞬間に思い出がフィードバックするように鮮魚由来の香りが漂ってきた。その香りは乾物系魚介には表現できない艶かしさを持っており、それでいて生臭さを感じさせない特殊な仕上がりを見せる。かつて嫌いだった鮮魚系のイメージを払拭してくれたのは、この生臭さがない事が大きく関係していると思った。すでに嫌いではなく好きなジャンルになっているスープを口に含むと、醤油系では感じなかった新たな香味が少し遅れて口の中に広がった。それはイナダ主体と思った出汁の中に、ハモ特有の香りが速攻で押し寄せてくるといった、バレーボールならば時間差 Aクイックのようだ。今回も熱々のスープなのは変わりなく、味覚が機能しづらいはずなのだが、それを超えた旨みの強さが攻め上がってくる。それには数年前に韓国のキョンドで食べた、ハモしゃぶのスープの旨みを思い出した。塩ダレにした事で、より鮮魚系の風味が濃く感じられるのかもしれないが、また違ったスープの味わいを楽しめた。醤油系を食べた時は薄味の〝ブリの煮付け〟を思い出したが、塩系の今回は濃厚な〝アラ汁〟を思い起こした。それはフュメドポワソンを濃縮させて濁らせたような強い旨みで、カエシが違うと味わいが明確かつ鮮烈に変わるものかと驚いた。さらに驚いたのは先ほど醤油系のレビューを書き終えたばかりなのに、塩系でも書きたい事が止まらない事だ。それくらいに簡単には表現しきれないような、とてつもない奥深さを持ったスープなのだ。

まるで初対面のように新たなスープの驚きに魅了されながら麺を引き上げてみると、今回もジャスト130秒で麺上げされた中細ストレート麺は、醤油系と同じ地元の外注麺を使用されている。固茹でとは違うが、強めに歯応えを残してある絶妙な茹で加減に、箸のスピードは衰えを知らない。今回も食べ応えのある麺質の中に感じられたのは、嚙みつぶした時に浮き出てくる小麦の甘さの違いだった。今回の塩系の方がカエシに熟成感がない分、塩気をダイレクトに感じるせいで麺の甘みが際立っていた。またスープの濃度が鶏白湯のような粘性を持っているので、麺との絡みが良く、スープの塩気と麺の甘さのコントラストが、すする思いを加速させる。もはや、歯止めが効かなくなってしまった食べ心地の良さの虜になっていた。

具材のチャーシューは豚ロースの低温調理で同じだが、かなり前回よりも厚手にカットされていた。スープが高温なので今回は初めからチャーシューを非難させておいたので加熱されずに、しっとりとした舌触りを楽しめた。やはり早めに食べて正解だったと思えるような、半ナマとは違うレアチャーシューの持ち味を引き出されていた。

メンマは醤油系の時と写真を見比べても分かるが、極太ではなく中太タイプが添えてあった。単なる偶然なので味わい自体には差がなく、今回も手仕事感のする甘みを利かせたメンマの味と食感を満喫できた。

薬味のネギに今回は、店主さんのラーメンに対する思いを感じられたような気がした。それはあくまで薬味は脇役として存在してしているだけで、派手な主張やアピールをせずにいる。その事が、ラーメンとはスープと麺を楽しむ事が大切で、薬味は出過ぎる事なくサポート役に徹していると思った。これは他の具材たちにも言える事で、あくまで主役はスープと麺と思わせる控え目のポジションをとっている。

今回も熱々のスープを最後の一滴まで飲み干す頃には、調理場内の熱気と闘う店主さんに負けないくらいに汗だくになっていた。私と同年代くらいの中年男性客がスタッフさん方に「本当に美味しかった、この辺りの飲食店は夜は早く閉める店が多いから助かるよ、また来るね」と言って出ていったが、確かに通し営業での22時半までは大変だろう。そんな 地元の声援を受けて、これからもお身体には気を付けながら地元客に愛され続けて欲しいと願う。

後会計を忘れずに済ませて店を後にしたが、これまた遠い場所に名店ができてしまったものだ。今までは限定メニューを避けて安定を求めてきたのだが、こちらは豊富な海の幸を有する相模湾で獲れた魚の種類で、その日のスープが変わるらしい。季節によって獲れる魚が違うばかりでなく、個体の大きさや脂のノリによって日々違ったスープになるはずだ。これは〝味ブレ〟ではなく〝味攻め〟と表現した方が正しいだろう。ラーメンに安定感を求める私も、こんな楽しみのある変化ならば大歓迎だ。

これからの季節は伊勢海老やノドグロなどの高級食材も水揚げされるが、本日も使われていたイナダも成長してブリとなって脂が増してくる。そんな中でも楽しみなのは、春先のわずかな時期にだけ獲れる佐島産の天然の生わかめだ。もしこの生わかめを店主さんがラーメンに活かすとしたらと想像しただけで喉が鳴った。そう思うと、江ノ島に住んでる方がうらやましすぎる。

もともと本物の魚の旨みを知っている方しか住んでいないと思われる場所で、正々堂々と魚介出汁で勝負されて、すでに人気となっているのが素晴らしい。前回の醤油系の方が個人的には好みだったので今回の採点は少し低めだが、苦手だった鮮魚系では異例の高スコアとなった。

これからようやく平塚の名物サウナに向かう事にしたが、久しぶりに誰かを誘って訪れたいと思える一杯でした。

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