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「味噌ラーメン(Aセット)」@旨蔵麺の写真この日は三宮方面に所用。その前にどこかラーメン屋に行こうと思ったが、時間の都合上、通時営業の店にしか行けない。たった一つだが、大きな制約である。だからあまり期待せずに色々と検索している中、ヒットしたのがここ「旨蔵麺」。幸運にも以前からマークしていた店だ。






私が入店したのが昼の3時過ぎ。店内はノーゲストであり、初老のご主人がちょうど昼食(やはりラーメン)を
とっておられるような時間帯であった。
そのご主人。
厨房内で何か作業をしておられた女性従業員の落ち着いた「いらっしゃいませ」に続き、
ほどほどに朗らかで威勢の良い、しかしそれでいて穏やかで落ち着きのある「いらっしゃいませ!」で私を迎え入れる。
良い歳の取り方をせねば、あの「いらっしゃいませ!」はできないだろう。
妙に心地良い。
この時点でもう、仮にラーメンがどんなものであろうとも、「来て良かった」と思わせられるものがある。

Aセット(味噌ラーメン+麦とろごはん)を注文した後、店内を見渡す。
いわゆる「ラーメン屋」といった風情ではない。小料理屋のように小綺麗でもなければ、
カフェ程にシャレているというわけでもない。
誰の嗜好が反映されているのかは存じ上げないが、ご主人の世代及びその前後の方々が憧れたような、
レトロで西洋的な異国情緒をところどころに漂わせたような空間だ。
あえていうならば、年季の入った趣味の良い喫茶店といった趣だろうか。

間もなく、ラーメンが到着。

・スープ

鶏系と豚骨、香味野菜をベースに、カニ味噌や酒粕等を活かした味噌ダレを合わせたもの。

動物系の出汁は、しばしば「味噌負け」する我が脆弱な舌と味噌ラーメン経験値の低さもたたって、
鶏と豚のどちらが主体なのかはっきりと判別できなかった。
だから鶏白湯といわれればそんな気もするし、鶏豚骨白湯といわれればそれにも頷いてしまうかもしれない。
豚骨ベースでも香味野菜や味噌ダレ次第ではこの動物感を出される気がしないでもない。
差し当たってわかるのは、トロみの元である濃い目の動物系出汁と香味野菜がしっかりと利いていること。

味噌ダレについても、はっきりとは判別し難かった。
カニ味噌特有のほのかな甲殻感は感受できなかった。
また、他の味噌もブレンドされているような気もした(昼飯専門さんが推察されているように、白味噌なのかも)。
ただし酒粕がその味を利かせるのではなく味噌の大豆感が立ち過ぎるのを防ぎ、スープ全体にコクを出すことに
寄与していることは感受(余談だが、少なくとも私は、味噌鍋を作る際にこの目的で酒粕を使っている)。

強引に一口でいってしまえば、動物系と野菜が利いたコクまろ味噌味のスープといったところだろうか。

・麺

メニュー表に厳選された細麺が用いられていることが記載されている。
「厳選」…、スーパーの特売品にさえそう書かれていることがあるため、少し興ざめしてしまうこの言葉。
したがって多少の猜疑心と警戒心をもってしてこの麺を啜ってしまったが、これが意外にも、
あるいは「厳選」という言葉に値する良い麺であった。

ややウェービーな形状を活かしてスープを難なく運び、食べ手の口内にもスムースに入る。
「フニャフニャ」と「モチモチ」の中間やや柔らかめの噛み応えを供する。
カンスイ臭さを排除することはおろか独自のテイストを主張することも抑制し、スープのテイストを
遺憾なく感じさせる。
と、こういった具合に、可能な範囲で自らの存在を意識させず、それでいて仕事振りが徹底しているのである。
「不在」が現前化し、逆説的に「存在」へと昇華された凄みがビシバシと伝わってくる麺だ。

おそらくこのラーメンを食された大半の方が、麺の存在をほとんど意識しなかったのではなかろうか。
麺について問われても、「特に何も思わなかったけど」と答えるのではなかろうか。
私はそれに半分同意できるが、半分は同意できない。
「思わなかった」のではなく、「思わされなかった」のだと考えられるからだ。
また、その「思わせない」には、麺そのものだけではなく、ご主人の目利きや茹で上げの腕前等も
大いに寄与してもいるのだろう。

とにかく、この麺は「厳選」されたといってしかるべき良質の麺なのではないだろうか。
「厳選」は、決して誇大化されたキャッチフレーズでも宣伝文句でもない。

・具

チャーシューに葱、大根の千切り、刻み海苔、糸唐辛子など。
チャーシューは外側に「やや甘、ややクセ」の醤油感をまとい、内側にやや甘く柔らかい肉質を持つもの。
ラーメン屋のみならずとも、昔から定番の味付けの一つである。
安心して食せる方が多いのではなかろうか。
またシャキシャキしたみずみずしさが嬉しい大根の千切りもまた、スープに良く合う美味い具材であった。

・麦トロご飯

取り立てて何の感想も抱けなかった。
身体に良さそうだとは思ったが。

・難癖、あるいは弁明

このラーメンを81点と採点させていただいたが、実は70点台半ばの満足度であった。
それはひとえに、至極個人的な話で恐縮なのだが、この店のスープとチャーシューが幼少期より
馴染み深いものの延長線上にあったからだ。
スープは私が自炊する際に作る味噌鍋(母親直伝、私の大幅なアレンジ)の味と、チャーシューは外側の
醤油感がスーパーで買うやつと同傾向にある。
それ故、いうまでもなくそれぞれの水準はこの店のものの方が上であるにも関わらず、
いまいち新鮮味に欠けると感じられてしまったのである。
いつの間にやら大人と呼ばれる「お年頃」になると幼少期より「知る」味を余り好まなくなってしまい、
ましてや外食したくなくなっているのである。
そう。これはスープとチャーシューが悪いのではなく、私個人の問題だ。

しかし多くの人は、少なくとも私と同じような理由で点が伸びないということはないであろう。
そしてご主人のお人柄。
先述した入店時の「いらっしゃいませ!」に続き、退店時の「ありがとうございました!」も心地良く、
抱かされた「来て良かった」感が「やっぱり来て良かった。いずれまた来よう」との再訪意欲にグレードアップされた。
それゆえの81点である。

・終わりに

「味噌ラーメン」。
濃い目の動物系出汁と香味野菜が良く利いた、まろやかでコク深い味噌味のスープ。
「普通」という仮面を被った、秘めたる凄みをビシビシ感じさせられる麺。
馴染みやすいチャーシューに新鮮な具材。
隠し味の「人ガラ」。
全てが美味く、何だか安らぐラーメンである。
未訪の方には「機会があればどうぞ。良い店ですよ」とお勧めしたい。

投稿 | コメント (4) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

 毎度です。今晩は、昼飯専門です!。
くぅーーーっ、何とも・・・

>穏やかで落ち着きのある「いらっしゃいませ!」で私を迎え入れる。
>あえていうならば、年季の入った趣味の良い喫茶店といった趣だろうか。
>動物系と野菜が利いたコクまろ味噌味のスープといったところだろうか。
>また、その「思わせない」には、麺そのものだけではなく、ご主人の目利きや茹で上げの腕前等も・・・
~この部分文章意外の全てで「この店」・「この一杯」を充分知らしめ、語り尽くせてますね・・・。

そして、
>隠し味の「人ガラ」。
~これだーー。

 何版か発行された「poly-hetero名作劇場」シリーズの一つに加えたい「一作」ですよ。これは。
店・味・ムード全てが「これを読んでから訪れた人・・・判りますよ」と間違いなく言えます。


※P.S 「この味噌トローンとしのがイイねん」と、かれこれ、自分のレビュー以降、 3回は同伴させれてますので、 
 このレビューの内容がビシバシ伝わるんですよ。一度の訪店での凄まじい「見抜き」としか言えませんな。
 因みに西大専門が唯一、「西大越え」と言っているこの一杯&お店・・・。
 友人迄連れて行き、ことごとくその方々を「この店のファン」にせしめる所が「女のパワーの恐ろしさ・・」
 







昼飯専門 | 2009年2月18日 23:25

昼飯専門さん、コメント等ありがとうございました。

>何版か発行された「poly-hetero名作劇場」シリーズの一つに加えたい「一作」ですよ。これは。
>一度の訪店での凄まじい「見抜き」としか言えませんな。

「私はそれに半分同意できるが、半分は同意できない。
『語った』のではなく、『語らされた』のだと考えられるからだ」
なんてね(笑)

でも本当に良い店ですよね。
「また味噌を食そう」とか「次は醤油だ」よりも先行するのが「またいつか行きたい」という気持ちですわ。
そういう店って、ありそうでないというか。

>かれこれ、自分のレビュー以降、 3回は同伴させられてますので、

おっ。
では醤油ラーメンの方も既に食されておられるのですか?

>因みに西大専門が唯一、「西大越え」と言っているこの一杯&お店・・・。

かねてから探し当てられない西大専門さんのツボがますますわからなくなってきました(苦笑)

poly-hetero | 2009年2月20日 07:19

 度々失礼致します。昼飯専門です。
>では醤油ラーメンの方も既に食されておられるのですか?
~はい、勿論。レビューは書いてませんが、写真も有りますよ。(笑)
 味噌ダレより醤油の方が、より白湯出汁の味がハッキリと出ており、個人的には醤油の方が好きカモ?です。
 

昼飯専門 | 2009年2月21日 10:44


>~はい、勿論。レビューは書いてませんが、写真も有りますよ。(笑)
 味噌ダレより醤油の方が、より白湯出汁の味がハッキリと出ており、個人的には醤油の方が好きカモ?です。

さて、独り言を言いますか。
「だ、だったらレビューを読みたいな~…。昼飯専門さんのレビューならば、ラーメンの全体像が見えるんだろうな~…」
ん?な~んにも言っていませんよ、私は。

ではでは~

poly-hetero | 2009年2月21日 17:32