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「黒醤油煮干しそば ¥750」@寿製麺 よしかわ 西台駅前店の写真平日 薄曇り 10:30 先待ち2名 後待ち13名

G難度〝伸身のヨシカワ〟を求めて。

どうしても確認したくて西台に向かっていた。それは前回に食べた麺のコンディションが不調で茹で加減も含めて納得いく出来映えでなかった件だ。

こちらの麺の特徴はハリのあるストレート麺なのは理解しているつもりだ。もしこの麺が体操の技だとしたら〝ヨシカワ〟と名前が付けられるはずのオリジナリティ溢れる麺だと思っている。真っ直ぐに美しく伸びたキレのある麺の大ファンなのだが、前回はあまりにも硬すぎて舌触りも悪く小麦の香りと甘みが全く感じられず残念な一杯となってしまった。

グランドオープン直後だったせいかオペレーションも今ひとつ噛み合ってなかった事を思えば再訪は少し先に見送ろうと心に決めておいたのだが、毎日のようにこちらのラーメンが頭に浮かんでしまい堪えきれずに玄関を飛び出した。

本日は前回より早く開店前の先着を目指して早めに家を出たが、さっきの地震の影響か山手線に遅れが出ていて乗り換えの巣鴨駅に着いたのは10時過ぎだった。この時間には現着予定だったので少し遅れをとったが三田線に乗り込んで西台駅へ。

前回の訪問で三田線の後方車両に乗れば改札口が近いことを学んでいたので本日はそれが活きた。改札を出てはやる気持ちを抑えながら店のある大通り沿いに出ると既に行列が出来ていた。前回と同じ三番手をキープして開店を待つ。本日は煮干し香が店頭までは漂っておらず胃袋を刺激されずに穏やかな気持ちを持続できた。

前回とは異なり開店の20分前には食券の購入が開始された。早くもオペレーションが改善されている対応の早さに感心した。券売機の前で迷う事なく今回は黒醤油を発券した。基本でも十分に満足できるので追加トッピングは今回も無し。

再び列に戻ると定刻の少し前に入店開始。セルフで水を汲みカウンターに座り店内を眺める。入店を先に見越して調理が始まっていて、着席すると間もなく我が杯が到着。大柄のタコ唐草の多用丼の中の姿は全ての物を飲み込むブラックホールのように私を待ち構える。

まずは漆黒の闇のようなスープをひとくち。煮干し香とカエシの黒醤油の香味の先頭争いが繰り広げられるが、どちらとも言いがたいバランスでまとまっている。ガツンとは来るが決して嫌味のない煮干し出汁と、スープの強い色調とは反しカエシの塩分も優しく醤油の熟成した風味を持つ二枚看板が特徴のスープだ。例えるならパワフルな演技力と優しい顔立ちを持ち合わせ、体操界にアイドル旋風を巻き起こした池谷 西川の清風コンビのようだ。

次に、これを確認するためだけに立ち寄ったと言っても言い過ぎではない麺を箸で持ち上げてみる。箸先からも伝わってくるビシッと背筋の張った芯の強さを感じる点は前回と同じだが、明らかに麺のしな垂れ方が違った。前回は重力に逆らうように箸先から水平を保とうとしていたが、今回は重力に抗うことなく垂直に落ちてくる。

この力強いハリやコシと流れるようなしなやかさを両立させているのがG難度〝伸身のヨシカワ〟の真骨頂なのだ。F難度の〝シライ3〟のような、ひねりを利かせた平打ち麺も好きだが真っ直ぐ伸びた〝伸身のヨシカワ〟のようなストレート麺には中々お目にかかる事が出来ない。神奈川淡麗系の長、ラーメンの鬼が生み出した〝サノミノル〟のような伸身系の滑りの良さを活かした麺もあるが、噛む本能を呼び覚ましてくれる点では〝伸身のヨシカワ〟の方が私は好きである。本日はそれを再確認できただけでも十分に来た価値があった。しかし箸は進むことを止めず走り続ける。

具材の豚肩ロースの低温焼豚は、もはや疑う余地のない安定感を披露する。色彩だけはロゼ色を保っているが半ナマとは違い、豚肉のタンパク質が変性する温度までしっかりと加熱されているので安心安全なレアチャーシューだ。もちろん肉本来の質の良さとソミュール液の下味の技術の高さがあればこその出来栄えだ。

それは鶏ムネ肉の方にも通じていて、惜しげもない厚切りが自信の表れでもある。最近のレアチャーシューブームで高価な機材が無くても鶏ムネ肉の低温調理は可能だが、保健所が入ったら営業停止にはならないまでも注意勧告は受けるような半生チャーシューを提供している店が山ほどある中で、こちらは法令基準を満たした調理方法なので厚切りにしても生っぽさも無くシットリと仕上がっている。

味玉半個は基本でも入っている太っ腹だが、本日分に限り白身が締まり過ぎて硬い歯応えになっていた。本来は黄身まで旨味が浸透しているが白身は硬くなっていないのが持ち味なのだが発揮されてなくて残念。

材木メンマは柱ではなく床板のような形状で硬めの食感を出している。しかし硬過ぎないように繊維の多い部分には鹿の子に隠し包丁を入れてあるのには驚いた。それによってスジが残らず硬くても歯切れの良い食感を生み出している隠れた職人魂。

薬味は三者三様の決め技を持っている。白ねぎの角切りはスープの加熱により甘みが引き出されてシャリっとした独特の食感を作る。青みの三つ葉は山の野趣を持つ軽やかな苦味を押し出して海産物由来の煮干しの苦味と共闘する。その山の野趣と海の香りの丈比べに海苔の風味が相まって更に広がりと奥深さを作る。本日の海苔だが、いつも質の良さは感じていたが今日のものは寿司屋で使われる海苔にも匹敵する口溶けの良さがあった。この海苔で酢で〆たイワシの巻物を巻いたならと思うとノドが鳴った。

本日は自身を制することなく本能のままに完食完飲できた。スープの旨さもさることながら私にとっては本日の麺こそがこちらの代名詞でもあったので味玉を除いては満足で店を後にした。

店を出ると先ほどまでは霞みがかった冬空だったが、冬の太陽を遮る雲はなくなり青く澄んで晴れ渡っていた。今の心境を映すような空を見上げながら帰路につく一杯でした。

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