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「らーめん(もも)¥700」@らーめん飛粋の写真平日 晴天 10:45 先待ち1名 後待ち4名

本日は〝蒲田行進曲 前編〟を開催する。

初の蒲田入りが、初の家系レビューになろうとは思ってもいなかった。過去には家系と呼ばれるラーメンを食べたことはあるが今ひとつ相性が良くなかったのが敬遠していた理由のひとつだ。もうひとつの理由が「どうでもいいですよ」の理由で、世の中に〝家系〟という言葉が出てくる前に(出てきてたらごめんなさい)当時、通っていたディスコでハウスミュージックしか流れない西麻布Yellowや芝浦GOLDの事を仲間内ではハウス系をもじって〝家系〟と呼んでいたので家系=ラーメンと言うのがピンと来ないのだ。

しかし蒲田初上陸にあたって蒲田駅周辺で人気No. 1を誇るこちらを無視するわけには行かず初訪問を決意したのだ。本日も開店前の現着を目指して10時過ぎに自宅を出発し東横線から多摩川線の東急コンビの最安値で蒲田駅に着いた。その車内では頭の中に〝蒲田行進曲〟と〝家系ミュージック〟が交互に鳴り響く脳内カオスの状態が続いている。駅からも脳内の混沌とも似た悩ましげな怪しい繁華街を抜けると家系のイメージとは対照的な割烹料理店のような風情のあるこちらの看板を見つけた。

すでに並びも発生しており人気の高さと外観の落ち着いた雰囲気に初訪問の期待が高まる。後列も増え始めた頃に定刻より5分早くオープン。二番手で入店し少し複雑で見づらい券売機で迷ったが基本的には焼豚の種類と量を選ぶだけのようだ。豚バラと豚モモの二種類ある焼豚からサッパリしてそうな豚モモを選び好物の味玉を探したが無いようなのでシンプルな構成のお題になってしまった。初心者なのでデフォがちょうど良いかも。

L字のカウンターに座り店内を物色する。思いもよらぬ若者のワンオペで切り盛りされている。ワンオペなのに客のために早開けしてくれるとは開店準備の早さと心づかいが伝わってくる仕事熱心なご主人なのだろう。本日の客層は年齢差はあるがオール男性と食べる前から登場するラーメンの力強さがうかがい知れる。

着席して食券を渡す際に〝お好み〟を聞かれたが初めてなので全てを普通でお願いした。周囲の常連さん達はオリジナリティ溢れるオーダーをしているが全員に共通していたのは〝麺カタメ〟だった。見知らぬ土地での不慣れな家系の店で不安は募るばかりだ。

調理場では具材の切り分けやカエシの準備などが始まり固唾を飲んで凝視する。生麺の状態では黄色みを帯びた麺を大量に麺茹で機ではなく普通の寸胴鍋に投入した。茹で時間100秒程で平ザルにて麺上げが始まりラーメンが仕上がっていく。

順番通りに配膳されるが私を飛び越して次の客の提供となったが麺カタメからの提供なのは仕方ないと、しばし静観する。結果、私を飛ばした4人前が提供されたが一向に私の分が届かない。そんな風に不満に思っていると突然ご主人が寸胴鍋の中に平ザルを突っ込んだ。なんと私の麺はまだ茹でられていたのだ。麺カタメから遅れる事2分と少し、トータル240秒で麺上げされての提供となった。さすがにこの時点でフニャフニャの腰抜け麺を想像してしまった。

目の前に到着した、胴が朱色で見立てが白の切立丼の中の姿は勝手にイメージしていた雑多な姿ではなく、店の外観にも共通する洗練された品の良い顔立ちに映った。

予想外の表情に高まった期待を押し殺して琥珀色のスープをひとくち。初動は動物性コラーゲンの粘着質が唇をグロスのように覆い包む。それは口中に広がり乳化した油脂が口内に膜を張った。その隙間から感じるのは若干の獣臭さとアトミックなアタックだ。もちろん覚悟していたので底上げ程度の上乗せならば許容範囲内と言い聞かせて先へ進む。スープの出汁自体からの旨味も十分に出ているので完成度の高いスープなのは分かる。醤油ダレの主張も穏やかでスープの輪郭を形成する程度に抑えてある。若者だけでなく中年層の客が多いのも納得がいく仕上がりだ。

次に茹で時間4分を超える麺をいただく。縮れのある平打ち中太麺を箸で持ち上げてみると麺肌は柔らかいが芯の強さが箸先から伝わってきた。いざ口に含んでみると箸先からの伝達通りに麺肌から程よく溶け出したグルテンが口当たりを良くし、わずかに残った中心部のコシが歯応えを生み緩やかなウェーブが喉ごしに楽しさを与えてくれる私にはドンピシャの茹で加減だ。逆にあんなに早上げされた麺が心配になってしまった。「硬すぎる麺では小麦の花は咲かない」の持論が頭をよぎった。

具材は自ら選んだ豚モモ肉の釜焼き焼豚だが赤身の肉質を最大限に引き出す焼き加減と出しゃばらない薫香がダイレクトに本能を揺さぶる。やはり加熱する事でしか生まれてこない豚肉の旨味が感じられ追加しなかった事を後悔するような焼豚だった。

それに反して薬味は残念な仕上がりだった。仕上がりと言ってもご主人の手がかかっている具材では無いので仕方ないが、青みとして添えてある家系には欠かせないほうれん草は悲しいかな業務用既製品を戻しただけの物。香りも食感も全くない彩りとしての存在。こちらも家系の特徴である海苔は海苔の黒緑には程遠い緑色に近い苔色で磯の香りは届かず、口の中に残る口溶けの悪さも露呈していた。たしかにワンオペで薬味ひとつにまで手仕事を求めるのは酷だとは思う。その分スープや焼豚に心血を注がれているのが分かるだけに、更なる高みを望んでしまう。

後半はスープの乳化膜にも味覚が慣れて、潜んでいた不自然な旨味を強く感じるようになりレンゲを置いた。しかし最後まで薬味の白ねぎの食感がアクセントになってくれたので麺は大満足で食べきった。

もしかしたら人生で二度と食べることが無かったかも知れない家系ラーメンだったが、少し歩み寄れたと思えた。真意のほどは分からないが、この世の中に存在すると噂される〝家系〟で〝無化調〟のラーメンを是非に食べてみたいと思った一杯でした。

蒲田行進曲 後編へつづく

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