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「醤油玉子らぁ麺 ¥980」@ドゥエ イタリアン 市ヶ谷本店の写真平日 晴天 10:55 先待ち6名 後客14名

〝ニューオープン パトロール〟

RDBの新店情報の中に新店らしからぬ店名を見つけた。それが都内だけではなく国内に何店舗も店を構えるコチラだったのだ。

古い記憶をたどればレビューを始める以前の10年近く前になると思うが、一度だけ訪れた事のある店なのだ。お店情報では移転とはなっていないので、改装リニューアルオープンだとばかり思い込んで初訪問を決めた。

11時開店前の現着を狙って半蔵門線と有楽町線を乗り継ぐと20分ほどで最寄りの市ヶ谷駅に着いた。遠い記憶をたどりながら靖国通り沿いを歩いて進むと、思っていた記憶よりも少し手前に開店祝いの花に包まれた店先が見えてきた。こんなに市ケ谷駅から近くはなかったと思うので改装ではなく移転リニューアルだったようだ。

そんなきらびやかな店先には定刻の5分前だったが行列がすでに発生しており、慌てて並びの最後尾を探した。店頭には三席の外待ちイスが用意されているが、それ以降の並び順には説明書きがなくバラついた行列となっている。信号待ちの人混みと行列の区別がつかないので最後尾が分からずに困っていると、信号機が赤から青に変わり人混みが減ると最後尾を見つける事ができ七番手をキープしてオープンを待った。店頭に置かれた写真付きメニュー看板から本日のお題を品定めするが、ラーメンに関しては保守派の私の苦手な洋風メニューが目立つ中にシンプルそうな基本の醤油系を見つけた。勿論こちらのオススメは塩系や洋風だとは知ってはいるが、変化球にはめっぽう弱いのでマイスタンダードの醤油系にしようと心を決めた。

そのまま後列は増えなかったが定刻になると店内から黒いスーツ姿の女性スタッフが出てきてオープンの案内となった。入口左手に設置されていたのは、オシャレな内装に合わせてシックな色合いにカスタマイズされた芝浦自販機製の最新型タッチパネル式券売機だった。まだまだ不慣れなタッチパネルの中から、先ほど決めておいたお題の味玉入りを発券して入店となった。ホールスタッフさんの誘導にて対壁式カウンターに進むと、真紅のレザー調の椅子に腰を下ろして店内観察を開始した。

手前の客席と奥の調理場をデシャップでつないだレストランのような店内は赤と白をコンセプトとした内装となっていて、イタリア風で言えばロッソとビアンコのインテリアが特徴的だ。そんなオシャレ感に魅せられた近所の大学に通う女子大生が客の大半を占めており、おじさん一人客には居心地が良いとは言いがたい状況となっている。オシャレなのは内装だけでなく、カウンターに置かれたお冷も専用の緑のガラス瓶で個人専用となっている。スタッフさん方のユニフォームにはコックコートにソムリエエプロンを採用されていて、とてもラーメン店とは思えない高級感に満ちている。壁沿いのカウンター席よりも可動式のテーブル席が設けてあるので、グループ層にも対応可能なレイアウトとなっている。そんな店内を本日は五人体制で営業されていて、客人の誘導や調理も順調に進んでいると思われる。先客たちのラーメンが次々とサーブされていくが、100%の確率で生ハムが乗せられたラーメンなのだ。流行りのインスタ映えを意識してのオーダーなのだろうと思いながら待っていると、着席して8分で我が杯が到着した。

その姿はオリジナルの屋号の入った独特な器にて現れた。少し横長楕円形の白磁の丼と受け皿の組み合わせが良くなくガタガタと不安定に感じられたのだが、丼がセンターに置かれてなかったのが原因だったようだ。器を受け皿の真ん中に置き直すとしっかりと安定してくれたので、安心してラーメンに向き合う事ができる。目の前の姿からは美しさと気品があふれんばかりに映し出されて、具材のクオリティの高さや丁寧な盛り付けが食べる前から期待を大きく膨らませてくれる。変化球的なメニューが多い中で基本的なラーメンの真摯な姿には不安な要素を全く感じずに、カウンターの引き出しに準備されている箸とレンゲを取り出した。この箸やレンゲの在り処を知らないと「すいません、箸ください」と恥ずかしい事を言ってしまいそうなので初訪問の方はご注意を。

まずは雀茶色のスープをひとくち。正直に言うとオシャレな器とは不釣り合いに見える、あまりにもオーソドックスなスープの色調には多少の違和感を感じた。全く奇をてらった感のない清湯醤油系のスープにはクラシカルな雷紋柄の丼の方が似合っていそうである。まばらなドットの大きさの香味油が浮かんだ液面にレンゲを沈めてみても、懸念されたトリュフオイルなどの洋風素材の香りを感じないのがうれしい。いざスープを口に含むと、鶏油の甘みが先行してくる鶏出汁主体の旨みが口の中に張りめぐらされた。カエシの塩梅も繊細で穏やかにまとまっている素晴らしいスープだけに、飲み込んだあとに若干のクセとも感じる鶏特有の臭みがなければと思ってしまった。

麺は中細ストレート麺を合わせていて、持ち上げた箸先からは強いハリが伝わってくる。少しばかりの透明感を持つ麺を一気にすすり上げると、スープの鶏油が潤滑油となって勢いよく滑り込んでくる。滑らかではあるが凛としたハリも感じさせてくれる麺質はスープとの相性も良いので、一体感を生んで口の中を跳ねまわる。そんな強さも持ち合わせた麺を噛むと、みっちりと詰まったグルテンを奥歯で感じられる食感はロングパスタを思わせる。決してパスタに迎合しているのではなく、あくまでもラーメンの麺としての存在をアピールしているのはスープとの相性の良さから感じるのかもしれない。派手さはないが確実な歯応えが、麺を噛む楽しみを生んで食べ飽きさせない。

具材のチャーシューは豚バラの巻き型煮豚が二枚盛り付けてあるが、かなりの薄切りなので箸に触れただけで崩れるほどに柔らかい。脂身の特性を活かした柔らか仕立てだと思うが食べ応えの面では、かなり物足りなく思ってしまった。味付けが良かっただけに二枚分を一枚の厚切りにしてでも、豚肉の持つ噛み応えを望んでしまう。

追加した味玉は常温まで戻された提供温度や適度な黄身の熟成感もあり、ラーメン全体のバランスを保つような味付けとなっている。これと言って特筆すべき点がある訳ではないが、塩系のスープに入ったとしても目立ちすぎない存在でありそうな万能型の味玉と思えた。

穂先メンマも際立った個性を発してはないが、発酵食品ならではの香りを残した仕上がりとなっている。噛み応えも硬過ぎず柔らか過ぎずの絶妙なアクセントを与えてくれて、噛みしめるたびに食感に変化をつけてくれた。

薬味の青ネギの小口切りは、かつて見たこともない程に繊細に仕込まれている。よほどの包丁の切れ味がないと、この細やかな刻み方は出来ないと思われる。しかし切り口の乾き方を見ると切り立てとは思えず、舌触りも然りでパサついており香りも飛んでしまっていたのが残念だった。

その分、海苔の存在感は見事に発揮されていた。この靖国通りには知る人ぞ知る海苔の名店があり、私はそこの海苔の大ファンなのだ。この海苔の質の高さを考えると、もしかすればそちらから卸された海苔ではないかと思ってしまうほどに香り高く口溶けも良い。そんな海苔一枚にも店主さんのこだわりが見える気がした。

序盤から快調に食べ進めて、気が付けば麺と具材を平らげていた。ここから本来ならば男らしく両手で丼を持ち上げてスープを飲み干したい所なのだが、それは器の形状的に困難なので仕方なくレンゲで繰り返しすくって飲むという、いかにも女子的な動作を強いられた。

〝強いられた〟と言うと語弊があると思うが、こんなオシャレな異空間に飛び込んだ自分を責めながらレンゲでスープをすくい続けた。

一部の具材と薬味が好みと違っただけでスープと麺は大満足で食べ終えたが、どうしても器の形状が心残りとなった。周囲を見ても生ハムを器の口縁の余白に乗せたラーメンを食べている客がほとんどだったが、それならば器の形に必要性を感じるが今回のようなオーソドックスな醤油ラーメンには器の口縁の余白が不必要に思えてしまった一杯でした。

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