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神戸に行く用事があり、ついでに(「ついで」じゃなくてそちらが「メイン」だろ、とのツッコミはエチケット違反です)念願のしゅはり初訪問。実はこの店に一度フられた経験があったので、その分だけ嬉しさもひとしおです。注文したのは潮らーめんとチャーシュー丼(ミニ)のどんぶりセット。それに味玉を加えました。待っている間に飲んでいた水は非常にクリアな味。無化調を謳う店は素材の旨みを最大限に引き出すため、ある程度水にこだわるところが多いですね。店主の丁寧な仕事振りに見とれている内に潮らーめんが到着。まずはスープを一口。「旨い…」動物系出汁に支えられたいくつかの魚介系の存在を「味認」させるような重奏的なテイストを誇るこのスープは、もはやラーメンという以上に、一料理として立派に通用するでしょう。少々温くなっても、いや、むしろ熱々よりも少し温くなっているぐらいの方が旨みを堪能できるようなラーメンです。このスープは極めて繊細ですが、旨みが3段階に分けて静かに押し寄せてきます。まずは塩ダレの優しさ。沖縄産のぬちまーすという塩を用いた塩ダレは塩ラーメンとして一定水準の塩分を感じさせる一方で、カドの取れたまろやかな旨みを有します。次に出汁の奥深さ。出汁は塩ダレと軌を一にしたマイルドなもの。しかしそれと同時に、似たもの同士が肩を並べることで初めて浮き彫りになる類の差異を感じさせます。ここで塩ダレ一辺倒のテイストではないことが明白化されますが、このスープはそれだけでは終わりません。「奥深くにまだ何かがあるぞ」という具合に、あるものの存在を予示します。最後に出汁の多面性。魅入られるように奥深くに潜っていくと、このスープの真骨頂である多面性を発見することになります。出汁で使われているのは、3種の削り節、羅臼昆布、干し貝柱、干し海老、シイタケ、スルメ、にんにく、鶏ガラ、モミジ、豚ゲンコツ、豚足、野菜など。とりわけ強く存在が引き立てられていたのが、節と貝柱、干し海老。「節の味わい。しかし意識を変えれば貝柱の存在も。さらに甲殻類特有の香ばしさも」という風に、この3つの存在を交互に「味認」させられるのです。これは凄い…。食材に詳しい上に味覚が鋭敏な人であれば、より多くの存在を同時に認識できるのでしょう。まるで口の中が青く穏やかな海になり、魚介類が心地良さそうに泳いでいたり静かに佇んでいたりするような贅沢なテイストです。しかしこのスープ。大阪は高槻市にある彩食ラーメンきんせいの「こだわりの塩」のそれのような、賑やかな味わいと少々のことではブレないタフさを誇るタイプではありません。あくまで繊細なバランスの上で成り立っている静かで深い味わいタイプです。ですから卓上の塩ダレを加えるとより「塩」の輪郭がはっきりとするものの、出汁の多面性がマスキングされ、京都市の風花に似たやや単調なきらいのあるスープになってしまいます。また、それ故にパンチの利いたわかりやすいラーメンをガッツリと食べることを好む人向けではないのかもしれません。少なくとも今回の同行者2人はそうであり、上で示した第3段階には進めませんでした。「普通に美味いけど…」以上の感想を抱くことはなかったようで、彼らがもしこのラーメンを採点すれば、低い点数となったでしょうね。さて、麺は大阪は豊中市の麺哲に特注しているという多加水麺(現在は麺屋棣鄂の全流粉麺)。ピチピチと跳ね返りがありつつも歯切れの良いタイプ。特別に小麦の風味が強いタイプでもありません(しかしそれ相応には感じさせます)。しかしそれでも美味く感じられたのは、麺の瑞々しさが繊細なスープとの相性が良いからでしょう。ツルツルとしたテクスチャーが心地良いです。具は、チャーシューに白髪葱、干し海老、ワカメ、メンマ、海苔、トッピングで加えた味玉など。チャーシューはやはり濃い味付けがなされたものではなく、じわっと旨みが滲み出るタイプのもの。味は良いのですが、少し厚めに切られており、個人的にはそれが厚切りのハムの食感に似ているような気がしたため、やや不満を覚えました。あの厚さならば、それを2枚に切っても良いはず。味玉は半熟具合が良く、もともと2つに切られているのが嬉しい。黄身の味わいも良いのですが、このラーメンとなら、さらに旨みの強いものにしても良いかも。とまあ些細な不満を抱きはしましたが、具全体の満足度は高いです。どれも不要なものだとは思わせられませんでしたしね。チャーシュー丼は、風花のそれに似た鉄火丼風のもの。鼻にツンと来ないわさびの優しい風味が良い。先程スープに言及する際に少し述べたように、この潮らーめんは人を選ぶものだと思われます。きんせいの「こだわりの塩」はラーメン好きならば誰にでもお勧めできるタイプであるのに対し、潮らーめんは熱々でパンチの利いたシンプルな味を求める方にはさほどお勧めできないタイプです。さほどボリュームが多くないことと大盛りが注文不可であることもマイナスに作用するでしょう。しかしながらじっくりと奥深さや多面性を味えるタイプの人や身体に優しい味を好まれる人ならば、仮にラーメン好きではなくとも、いや、むしろラーメンだけに純化されておらず、しかも舌が肥えているような人に是非お勧めしたい絶品です。間違いなく僕なんかよりもこのラーメンを堪能されるでしょうから。
とのツッコミはエチケット違反です)念願のしゅはり初訪問。
実はこの店に一度フられた経験があったので、その分だけ嬉しさもひとしおです。
注文したのは潮らーめんとチャーシュー丼(ミニ)のどんぶりセット。
それに味玉を加えました。
待っている間に飲んでいた水は非常にクリアな味。
無化調を謳う店は素材の旨みを最大限に引き出すため、ある程度水にこだわるところが多いですね。
店主の丁寧な仕事振りに見とれている内に潮らーめんが到着。まずはスープを一口。
「旨い…」
動物系出汁に支えられたいくつかの魚介系の存在を「味認」させるような重奏的なテイストを誇る
このスープは、もはやラーメンという以上に、一料理として立派に通用するでしょう。
少々温くなっても、いや、むしろ熱々よりも少し温くなっているぐらいの方が旨みを堪能できるような
ラーメンです。
このスープは極めて繊細ですが、旨みが3段階に分けて静かに押し寄せてきます。
まずは塩ダレの優しさ。
沖縄産のぬちまーすという塩を用いた塩ダレは塩ラーメンとして一定水準の塩分を感じさせる一方で、
カドの取れたまろやかな旨みを有します。
次に出汁の奥深さ。
出汁は塩ダレと軌を一にしたマイルドなもの。しかしそれと同時に、
似たもの同士が肩を並べることで初めて浮き彫りになる類の差異を感じさせます。
ここで塩ダレ一辺倒のテイストではないことが明白化されますが、このスープはそれだけでは終わりません。
「奥深くにまだ何かがあるぞ」という具合に、あるものの存在を予示します。
最後に出汁の多面性。
魅入られるように奥深くに潜っていくと、このスープの真骨頂である多面性を発見することになります。
出汁で使われているのは、3種の削り節、羅臼昆布、干し貝柱、干し海老、
シイタケ、スルメ、にんにく、鶏ガラ、モミジ、豚ゲンコツ、豚足、野菜など。
とりわけ強く存在が引き立てられていたのが、節と貝柱、干し海老。
「節の味わい。しかし意識を変えれば貝柱の存在も。さらに甲殻類特有の香ばしさも」
という風に、この3つの存在を交互に「味認」させられるのです。
これは凄い…。
食材に詳しい上に味覚が鋭敏な人であれば、より多くの存在を同時に認識できるのでしょう。
まるで口の中が青く穏やかな海になり、魚介類が心地良さそうに泳いでいたり
静かに佇んでいたりするような贅沢なテイストです。
しかしこのスープ。大阪は高槻市にある彩食ラーメンきんせいの「こだわりの塩」のそれのような、
賑やかな味わいと少々のことではブレないタフさを誇るタイプではありません。
あくまで繊細なバランスの上で成り立っている静かで深い味わいタイプです。
ですから卓上の塩ダレを加えるとより「塩」の輪郭がはっきりとするものの、出汁の多面性が
マスキングされ、京都市の風花に似たやや単調なきらいのあるスープになってしまいます。
また、それ故にパンチの利いたわかりやすいラーメンをガッツリと食べることを好む人向け
ではないのかもしれません。
少なくとも今回の同行者2人はそうであり、上で示した第3段階には進めませんでした。
「普通に美味いけど…」以上の感想を抱くことはなかったようで、彼らがもしこのラーメンを採点すれば、
低い点数となったでしょうね。
さて、麺は大阪は豊中市の麺哲に特注しているという多加水麺(現在は麺屋棣鄂の全流粉麺)。
ピチピチと跳ね返りがありつつも歯切れの良いタイプ。
特別に小麦の風味が強いタイプでもありません(しかしそれ相応には感じさせます)。
しかしそれでも美味く感じられたのは、麺の瑞々しさが繊細なスープとの相性が良いからでしょう。
ツルツルとしたテクスチャーが心地良いです。
具は、チャーシューに白髪葱、干し海老、ワカメ、メンマ、海苔、トッピングで加えた味玉など。
チャーシューはやはり濃い味付けがなされたものではなく、じわっと旨みが滲み出る
タイプのもの。
味は良いのですが、少し厚めに切られており、個人的にはそれが厚切りのハムの
食感に似ているような気がしたため、やや不満を覚えました。
あの厚さならば、それを2枚に切っても良いはず。
味玉は半熟具合が良く、もともと2つに切られているのが嬉しい。
黄身の味わいも良いのですが、このラーメンとなら、さらに旨みの強いものにしても良いかも。
とまあ些細な不満を抱きはしましたが、具全体の満足度は高いです。
どれも不要なものだとは思わせられませんでしたしね。
チャーシュー丼は、風花のそれに似た鉄火丼風のもの。鼻にツンと来ないわさびの優しい風味が良い。
先程スープに言及する際に少し述べたように、この潮らーめんは人を選ぶものだと思われます。
きんせいの「こだわりの塩」はラーメン好きならば誰にでもお勧めできるタイプであるのに対し、
潮らーめんは熱々でパンチの利いたシンプルな味を求める方にはさほどお勧めできないタイプです。
さほどボリュームが多くないことと大盛りが注文不可であることもマイナスに作用するでしょう。
しかしながらじっくりと奥深さや多面性を味えるタイプの人や身体に優しい味を
好まれる人ならば、仮にラーメン好きではなくとも、いや、むしろラーメンだけに純化されておらず、
しかも舌が肥えているような人に是非お勧めしたい絶品です。
間違いなく僕なんかよりもこのラーメンを堪能されるでしょうから。