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2020年8月28日の大崎裕史の今日の一杯

東京都新宿区西武新宿

武蔵ら〜麺

2020年8月21日、リニュアルオープン。「麺屋武蔵新宿総本店」から「創始 麺屋武蔵」へ。“創業の味が復活!”ということになっているが、秋刀魚節をまた使い始めたということ。昔の味に戻したわけではなく、昔を思い出す味わいをフレーバーに加えた、というのが正しいような気がする。否定的な意見ではなく、「今の武蔵」(積み重ねてきた武蔵の味)を活かしながら秋刀魚節も融合させ、今の人に刺さる味にしたと言えるのではないか。昔の味に戻しても20数年前から食べている数割の人が感動するだけになってしまうし、20数年前と同じ味が今、そのまま受けるとは思いにくい。ということで私の解釈は「今風+創業のフレイバー」。元々は7月20日から老朽化した店舗の改装を理由に休業し、リニュアルオープンと同時に味もマーナーチェンジした。

「麺屋武蔵」は青山一丁目で1996年に創業、「中華そば青葉」「くじら軒」と並んで「96年組」と呼ばれた。「麺屋武蔵」の特徴は秋刀魚節。「青葉」はWスープで知られたが、真の意味のWスープ(丼に2種類のスープを合わせること)は「青葉」は3カ月で辞めてしまい、簡素化してしまった。しかし、「麺屋武蔵」は創業当時からのWスープで、今も続いている。青山一丁目の頃は、当時の店主・山田さんがお客さんの顔や服装を見ながら動物系と魚介系のバランスを変えていた、という伝説がある。

そして新宿は1998年オープン。すぐに行列店になったわけではなく、海老油を使った「こってり」をメニューに加えてから人気になったため、山田さんは行列店になって嬉しい反面、自分の思い描いた味ではなく、悲しさもあった。それに近い描写は『ラーメン発見伝』に描かれている。今では都内だけで15店舗を展開。店長に味は任せて、店ごとの味を追求している。

主なメニューは、つけ麺900円、濃厚つけ麺960円、担々つけ麺950円、ら〜麺900円、こってり味ら〜麺900円、にんにくら〜麺990円、他。基本メニューというか、推しメニューはつけ麺になっている。(これは以前からそうだった)
ラーメン好きなので武蔵ら〜麺1180円を注文。席ごとにアクリル板で仕切られ、席ごとに消毒液が用意されている。

平日の11時半過ぎ、半分くらいの入り。入店すると好きなところに座れる。

出てきたラーメンは秋刀魚節の香ばしさが目立つ。動物系+魚介の二刀流清湯スープだが、あっさりというよりは重層感のある出汁。具は角煮、大きめのチャーシュー、メンマ、海苔、きざみ青ねぎ、味玉。
麺は平打ち太縮れ。昔もこんな感じだったが、これは最近までの麺に近い。いい組合せでおいしい。角煮もチャーシューもメンマもいい。多店舗展開になっているが店舗ごとにちゃんと作ってる感じがいい。そして、それぞれがおいしい。
こってり味ら〜麺が海老油を使ったものなのか、白濁系なのか、確認も含めて食べてみたい。にんにくら〜麺も昔の武蔵からは考えられないメニュー。これも食べてみたい。

大崎裕史
大崎裕史

(株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。