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2016年7月28日の大崎裕史の今日の一杯

東京都台東区京成上野

麺屋武蔵創業20周年記念限定メニュー「金乃武蔵」第7弾。

店舗は「麺屋武蔵 武骨相傳」(上野)にて7/28-31(日)の4日間、開店時間から10食限定で提供。価格は2160円(税込)。

メニュー名「水つけ麺」。

第一弾「鮪」、第二弾「ふぐ+獺祭酒粕」、第三弾「鯛+胡椒」、第四弾「筍」、第五弾が「鯨」、第六弾が「牛」と来て、いよいよ第七弾は、な、な、なんと「水」!

高級食材が続き、次は何が来るんだろう、ワクワク、と思っていたら、なんと「水」。日本名水百選に選ばれた水を使ったとしてもたかが知れてるのではないか?

テーマは「革新的で上質」ではなかったか?

さて、そんな疑問が沸き起こる「水」がメインの食材としてのつけ麺。その「水」は、静岡県富士宮市の「湧玉池(わくたまいけ)」の湧き水。「平成の名水百選」にも選ばれたことがあり、国の天然記念物に指定されている。水温は1年を通して13度前後で一定。これを麺茹で、麺を絞める水、麺の器に入る水、つけ汁、麺を作る際の加水、全部に使用。これをスタッフが現地まで行って汲み、運んでるという。(もちろん許可を取っている)

まずはビジュアルを見てみる。
麺の器には、その「水」が入っている。麺を茹で、水で締める際の最後の洗い水は塩分2%で少し麺に塩気を付ける。そして、麺の器の水は0.5%の塩味。なんだ、この数字は!化学の実験か!というきめ細かさ。そして、つけ麺を食べるときの儀式として、まず麺を何も付けずに食べてみる。ん?美味しいじゃないか!しかし、これは「水の美味さ」ではない。もちろん水もうまいのだが、その絶妙な塩分が水や麺の旨さを引き立てている。最近では昆布水などを麺の器に入れて出す手法が増えている。しかし、この微妙な塩水でも素晴らしくおいしい。実はここでまずビックリ。ちなみに麺の方には具は無し。薬味もない。それらは必要なし。

そして、つけ汁だが、ほぼ水に見えるつけ汁の中にはジュンサイが入っている。和食でよく使われる水生植物。そして、透明に見えるつけ汁に麺を浸けて食べてみる。なんだ、この旨味は!透明なのにすごい旨味がある。なんと「鮑」。塩洗いし、薄くスライスして天日干し。そこから出汁を引いたもの。これまた手間とコストをかけた出汁である。

麺は加水率50%の包丁切り多加水麺。この麺がわずかな塩を含んだだけの水で食べても美味しいのだ。それを鮑の出汁で食べるのだから、その美味さは未体験ゾーンだけに想像しにくいはず。

別容器には静岡産山葵。麺や水に山葵が流れないように山葵を食べるとき用の空の容器も出てくる。

前に書いたが湧玉池の水温は13度なので、この温度帯で食べられるように提供しているという。
最後に、熱い中、店に着いてもこのメニューを注文した方にはお冷やが出ません。他の水を直前に口に入れて欲しくないとか。いやはや、そこまでやるか。そして食後にはその水を使った水出し緑茶が登場。

今回もやりすぎ感のある問題作と言えよう。毎回のことだが10食限定なのでお早めに。

お店データ

麺屋武蔵 武骨相傳

東京都台東区上野6-11-15(京成上野)
大崎裕史

(株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンショー実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2019年4月末現在約12,500軒、約25,500杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。