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平日 晴天 14:00 中待ち7名 外待ち3名〝ウイークポイント強化ウィーク〟として、自身のニボ耐性の強化を目的とした一週間を過ごすと決めた。予定のない事を言い訳に昼すぎまでダラダラしてしまった。朝食も昼メシも食べず、気が付けば時計は13時を差そうとしていた。そんな中でRDB片手に候補の店を検索する。遠出できるような時間でもなく、昼営業も終了の時間が迫る中で15時半までやっているこちらを見つけた。過去二度の訪問も苦手な煮干し系を避けていた店だが、醤油、塩、共に高いクオリティだったと記憶している。そこで今回は未食の煮干しにチャレンジする為に三度目の訪問を決意した。となれば慌てて身支度をして銀座線に飛び乗った。20分ほどで着いた京橋駅からは歩くと少し距離があるがタクシーに乗るほどでも無く、急ぎ足で店を目指した。オフィスビルを縫うように歩いて行くと大きな看板が目に入った。三回目なので見慣れた風景のはずだが、よそよそしくも見えた。それは過去二度の訪問が夜営業だったせいかも知れない。初めての昼訪問の景色は新鮮に見えたのだろう。店先に着くと行列が並ぶ盛況ぶりで人気の高さを物語る。しかし予想していたよりも行列が少ないので安心した。入り口越しに見える客層は近所のサラリーマンに混じって日本人観光客の姿も多く見られる。タイミングが良かったのか3分も待たずに店内へと案内させた。すんなり入店できたと思ったが、実は店内にも中待ち席が7席も置かれてあり驚いた。夜の部ではイスが置かれて無かったが広いスペースが不思議に思っていたので合点がいった。券売機でお目当てのお題に味玉を追加して発券し中待ちへと昇格。時間には余裕があるので、この席からじっくりと、こちらの真骨頂である打ち立て手打ち麺の本気の手仕事を拝見する事にした。ステンレス製のタライの中には全粒粉と思われる薄茶色の粉を少量とオリジナル配合の内麦が入れられた。そこに細かく計量されたカンスイを加えていく。更には黄色みを帯びたオリーブオイルのような油を投入すると、手で混ぜるのではなくタライを揺すって粉と水分を合わせていく。ある程度なじんでくると、そこからは手を使ってこねる作業に入った。コシを与えるように全体重を掌底に乗せ生地をこねていく。しっかりとこねられた麺生地は赤ちゃんの肌のようにモチモチとして見える。その生地を麺打ち台へと移すと麺棒を巧みに操り伸ばしていく。縦、横、斜めと均一の厚みに伸ばされた麺を、可動式の麺切り包丁で同じ太さに切り分ける。その一定の太さを保った麺に個性を与えるために手揉みの工程へと移る。掌底で力一杯に潰したり、山型に揉みあげたりと手のひらの角度を変えながら麺の一本一本に命を吹き込んでいるかのように見える。力強いだけの手揉みに見えるが、女性の髪をスタイリングする美容師のような繊細な手さばきも加わると極上の平打ち縮れ麺の出来上がりだ。ここまで、合わせ1分、捏ね3分、伸し3分、切り30秒、手揉み30秒と計8分をかけて唯一無二の麺が姿を現した。こんな大人の工場見学を楽しんでいると35分程でカウンターへと昇格した。待ち時間も苦にならない職人技を堪能しんだ後は、ただ純粋にラーメンを楽しむだけだ。カウンターに座り待つこと8分で待望の我が杯が到着した。ステンレス盆の上に置かれた白磁の洒落た切立丼の中の姿は、無骨な男らしさで満ちている。その強面な表情と現代風の洒落た丼とのミスマッチがおかしく心を和ませてくれる。今回も麺は並盛りにしたので全体のバランスも良く、具材の配置もベストに思われる。まずはインド式カレーにも似た赤墨色のスープをひとくち。熱々の湯気にも煮干しの香りが溶け込んでいるくらい煮干し香が風味をリードする。その香りで脳の受け入れ態勢が整ったところでスープを口に含むと、苦味よりも旨味を強く感じる。苦味とは異なる風味があるのは焼干しを使っているのだろうか。焦がしたような独特の香味のスープにひとくちで魅了された。その煮干しの香味に慣れてくると丸鶏由来の動物系のコクを感じ始める。出汁からだけではなく香味油からも感じる豚由来のコクはラードのようでもある。この動物系のコクと煮干しの香りの共存が見事なスープの土台を築く。寒い地方ならではののカエシの塩分の強さはあるが過剰ではないのが助かった。褐色のスープの下には待望の手打ち麺が潜んでいる。初見ではスープの色に隠れて見えない麺を箸で持ち上げると、不揃いな麺たちが姿を見せる。手揉みで個性を与えられた麺はスープの色を吸い込む事で麺の厚みの強弱が一段と分かりやすくなっていた。麺上げまで120秒ほどの麺を口に運ぶと、波打った麺肌が唇を通過するたびに旨い。舌だけではなく唇で旨いと感じられる麺は、そうはないと思う。舌の上に滑り込んでくると口の中を華麗に力強く飛び跳ねる。上顎や頬の内側をくすぐるように跳ねる麺は、この上なく滑らかだ。力強くて滑らかな麺はまるで氷上の伊藤みどり選手のようだ。浅田真央選手との違いは、やはり力強さなのだろうか。その麺肌の質感を作っているのが先程のオリーブオイルのような油なのだろう。ロングパスタの製法に通じるものがある。モッチリした歯応えも強さの証で生パスタの食感のようでもある。奥歯で噛みつぶせば内麦らしい甘みが花開き、鼻腔を刺激しながら喉の奥へと消えていく。唇の先から喉の奥までと色んな表情を見せてくれる麺は、ここでしか味わえない事を確信した。具材は部位違いのチャーシューが二枚。今回は小ぶり過ぎて豚肩ロースなのか豚ロースなのか分かりづらい部位が一枚。本来なら豚肩ロースの低温調理のはずだが、調理法も判別できないくらいに小さかった。食べた感じはロースト焼豚のようでレア感はない。しかし味付けの良さが素晴らしく濃いめの設定だが肉質の旨味も残してあり追加したい焼豚だ。もう一枚は豚バラの煮豚をローストしたものだろうか。こちらは大きさも適度で、煮豚のような柔らかさがありながらも、かたまり肉の表面には引き締まった食感と香ばしさがあった。追加の味玉も良い仕上がり。驚きのレベルまではいかないが熟成された黄身の甘さが引き出された逸品。提供時の温度も温め直してあり芸がこまかい。こちらの出身店以外では見かける事のない金絲メンマは黒胡椒を利かせた味付けが特徴的。メンマ単体で食べるよりは麺と一緒に食べるのが向いていると思う。極細ながらも麻竹の香りがするメンマの食感と平打ち麺との組み合わせもこちらならではの楽しみ。薬味は残念ながら申し訳ない程度に盛られた白ねぎで、香りも食感も演じきれないほどの少なさだった。盛り場を担当する方の違いで、こうなったのだろうか。せめて倍くらいは添えて欲しかった。しかし今回の麺の出来が素晴らしく感動しながら麺と具材は平らげた。ニボ耐性を強化するためにスープも半分近く飲んでみたが、やはり塩気の強さで飲み干すことは出来なかった。今後の課題として、ニボ耐性を強化すると共に塩耐性のレベルアップも図らなければならない事を痛感する一杯でした。
〝ウイークポイント強化ウィーク〟
として、自身のニボ耐性の強化を目的とした一週間を過ごすと決めた。
予定のない事を言い訳に昼すぎまでダラダラしてしまった。朝食も昼メシも食べず、気が付けば時計は13時を差そうとしていた。そんな中でRDB片手に候補の店を検索する。遠出できるような時間でもなく、昼営業も終了の時間が迫る中で15時半までやっているこちらを見つけた。
過去二度の訪問も苦手な煮干し系を避けていた店だが、醤油、塩、共に高いクオリティだったと記憶している。そこで今回は未食の煮干しにチャレンジする為に三度目の訪問を決意した。となれば慌てて身支度をして銀座線に飛び乗った。
20分ほどで着いた京橋駅からは歩くと少し距離があるがタクシーに乗るほどでも無く、急ぎ足で店を目指した。オフィスビルを縫うように歩いて行くと大きな看板が目に入った。三回目なので見慣れた風景のはずだが、よそよそしくも見えた。それは過去二度の訪問が夜営業だったせいかも知れない。初めての昼訪問の景色は新鮮に見えたのだろう。
店先に着くと行列が並ぶ盛況ぶりで人気の高さを物語る。しかし予想していたよりも行列が少ないので安心した。入り口越しに見える客層は近所のサラリーマンに混じって日本人観光客の姿も多く見られる。タイミングが良かったのか3分も待たずに店内へと案内させた。
すんなり入店できたと思ったが、実は店内にも中待ち席が7席も置かれてあり驚いた。夜の部ではイスが置かれて無かったが広いスペースが不思議に思っていたので合点がいった。券売機でお目当てのお題に味玉を追加して発券し中待ちへと昇格。時間には余裕があるので、この席からじっくりと、こちらの真骨頂である打ち立て手打ち麺の本気の手仕事を拝見する事にした。
ステンレス製のタライの中には全粒粉と思われる薄茶色の粉を少量とオリジナル配合の内麦が入れられた。そこに細かく計量されたカンスイを加えていく。更には黄色みを帯びたオリーブオイルのような油を投入すると、手で混ぜるのではなくタライを揺すって粉と水分を合わせていく。ある程度なじんでくると、そこからは手を使ってこねる作業に入った。コシを与えるように全体重を掌底に乗せ生地をこねていく。
しっかりとこねられた麺生地は赤ちゃんの肌のようにモチモチとして見える。その生地を麺打ち台へと移すと麺棒を巧みに操り伸ばしていく。縦、横、斜めと均一の厚みに伸ばされた麺を、可動式の麺切り包丁で同じ太さに切り分ける。その一定の太さを保った麺に個性を与えるために手揉みの工程へと移る。
掌底で力一杯に潰したり、山型に揉みあげたりと手のひらの角度を変えながら麺の一本一本に命を吹き込んでいるかのように見える。力強いだけの手揉みに見えるが、女性の髪をスタイリングする美容師のような繊細な手さばきも加わると極上の平打ち縮れ麺の出来上がりだ。ここまで、合わせ1分、捏ね3分、伸し3分、切り30秒、手揉み30秒と計8分をかけて唯一無二の麺が姿を現した。
こんな大人の工場見学を楽しんでいると35分程でカウンターへと昇格した。待ち時間も苦にならない職人技を堪能しんだ後は、ただ純粋にラーメンを楽しむだけだ。
カウンターに座り待つこと8分で待望の我が杯が到着した。ステンレス盆の上に置かれた白磁の洒落た切立丼の中の姿は、無骨な男らしさで満ちている。その強面な表情と現代風の洒落た丼とのミスマッチがおかしく心を和ませてくれる。今回も麺は並盛りにしたので全体のバランスも良く、具材の配置もベストに思われる。
まずはインド式カレーにも似た赤墨色のスープをひとくち。熱々の湯気にも煮干しの香りが溶け込んでいるくらい煮干し香が風味をリードする。その香りで脳の受け入れ態勢が整ったところでスープを口に含むと、苦味よりも旨味を強く感じる。苦味とは異なる風味があるのは焼干しを使っているのだろうか。焦がしたような独特の香味のスープにひとくちで魅了された。その煮干しの香味に慣れてくると丸鶏由来の動物系のコクを感じ始める。出汁からだけではなく香味油からも感じる豚由来のコクはラードのようでもある。この動物系のコクと煮干しの香りの共存が見事なスープの土台を築く。寒い地方ならではののカエシの塩分の強さはあるが過剰ではないのが助かった。
褐色のスープの下には待望の手打ち麺が潜んでいる。初見ではスープの色に隠れて見えない麺を箸で持ち上げると、不揃いな麺たちが姿を見せる。手揉みで個性を与えられた麺はスープの色を吸い込む事で麺の厚みの強弱が一段と分かりやすくなっていた。麺上げまで120秒ほどの麺を口に運ぶと、波打った麺肌が唇を通過するたびに旨い。舌だけではなく唇で旨いと感じられる麺は、そうはないと思う。舌の上に滑り込んでくると口の中を華麗に力強く飛び跳ねる。上顎や頬の内側をくすぐるように跳ねる麺は、この上なく滑らかだ。力強くて滑らかな麺はまるで氷上の伊藤みどり選手のようだ。浅田真央選手との違いは、やはり力強さなのだろうか。その麺肌の質感を作っているのが先程のオリーブオイルのような油なのだろう。ロングパスタの製法に通じるものがある。モッチリした歯応えも強さの証で生パスタの食感のようでもある。奥歯で噛みつぶせば内麦らしい甘みが花開き、鼻腔を刺激しながら喉の奥へと消えていく。唇の先から喉の奥までと色んな表情を見せてくれる麺は、ここでしか味わえない事を確信した。
具材は部位違いのチャーシューが二枚。今回は小ぶり過ぎて豚肩ロースなのか豚ロースなのか分かりづらい部位が一枚。本来なら豚肩ロースの低温調理のはずだが、調理法も判別できないくらいに小さかった。食べた感じはロースト焼豚のようでレア感はない。しかし味付けの良さが素晴らしく濃いめの設定だが肉質の旨味も残してあり追加したい焼豚だ。もう一枚は豚バラの煮豚をローストしたものだろうか。こちらは大きさも適度で、煮豚のような柔らかさがありながらも、かたまり肉の表面には引き締まった食感と香ばしさがあった。
追加の味玉も良い仕上がり。驚きのレベルまではいかないが熟成された黄身の甘さが引き出された逸品。提供時の温度も温め直してあり芸がこまかい。
こちらの出身店以外では見かける事のない金絲メンマは黒胡椒を利かせた味付けが特徴的。メンマ単体で食べるよりは麺と一緒に食べるのが向いていると思う。極細ながらも麻竹の香りがするメンマの食感と平打ち麺との組み合わせもこちらならではの楽しみ。
薬味は残念ながら申し訳ない程度に盛られた白ねぎで、香りも食感も演じきれないほどの少なさだった。盛り場を担当する方の違いで、こうなったのだろうか。せめて倍くらいは添えて欲しかった。
しかし今回の麺の出来が素晴らしく感動しながら麺と具材は平らげた。ニボ耐性を強化するためにスープも半分近く飲んでみたが、やはり塩気の強さで飲み干すことは出来なかった。今後の課題として、ニボ耐性を強化すると共に塩耐性のレベルアップも図らなければならない事を痛感する一杯でした。