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平日 晴天 13:30 先客1名 後客なし〝花のお江戸で錦を飾ろうツアー〟と題して、今週は東京進出組にスポットライトを当ててみる。昨日の滋賀県から乗り込んできた「近江熟成醤油 十二分屋 早稲田店」に続いて初訪問を決めたのがコチラだ。RDBのお店情報では山形県天童市からの初進出となっている。しかも今年オープンしたばかりの新店舗のようだ。葱屋が母体となっているが、葱好きにはたまらない情報を得て店へと向かった。自宅でのんびりしているうちに、お昼時を迎えてしまった。こちらの御茶ノ水界隈のランチタイムはサラリーマンと学生が入り混じる激戦区なので、少し時間をずらして午後1時に家を出た。最寄駅ではないようだがアクセスの良い半蔵門線で神保町駅に向かい、そこからは歩いて店を目指す。10分以上も歩くことになったが馴染みのある通りに着いた。この通りにある焼肉屋には15年近く前になるが引っ越す以前は足しげく通っていたのだ。当時よりも年季の入った看板を懐かしく見ながら先へと進むとコチラがあった。この短い通りの中にはラーメン、カレー、蕎麦、ハンバーガー、とんかつ、ビストロ、焼肉と目移りしそうなランチ天国なのだ。そんな激戦区に挑んできた天童の魅力を楽しみに扉を開けた。入店すると券売機の前で品定めをする。筆頭に挙がるのは塩系だが、好みの醤油系に味玉付きのお題を押す。ホールスタッフの女性に食券を手渡しカウンターに座り店内を見回す。わずか6席のカウンターだけの店内を本日は三人体制で回している。白を基調とした白木を活かしたお洒落な内装だ。スタバ風の黒板には葱のイラストや夜営業のお知らせが書かれてある。調理場に目をやるとラーメン店ではあまり見かけない大型の角せいろ蒸し器が置かれてある。メニューには葱を使った饅頭があるので必要なのだろうが、席数に見合わない大きさだ。冬場の持ち帰りを想定してかもしれない。告知によると夜の部は立ち飲み屋としての営業になるらしい。葱を使ったつまみで一杯やるのも悪くない。そんな事を考えながら待っていると着席して5分で我が杯が到着した。それはタコ唐草の切立丼で供された。タコ唐草の反高台丼はよくあるが切立丼は珍しく思う。その中の姿は、器の青に褐色のスープ、そこに真っ白な葱のコントラストの美しさに目を奪われる。まずはスープからと普段ならいくところだが、今回は葱からひとつまみしてみる。惜しげもなく口に運ぶと驚くほどの甘さが広がる。ウンチクに書かれている事は大げさではなく果物のような糖度だ。さらには軽やかな香りと歯ざわりが心地よい。この葱を引っさげての東京進出ならば間違いないと、たったひとくちの葱だけで確信した。爽やかな葱の香りを口内に残しながらスープをひとくち。先頭に立つのは香味油の甘みだった。多めに表層を覆った香味油からはオイリーな甘みの印象が強い。ウンチクにもあるように牛アキレスの動物系スープと昆布や牡蠣、鯛煮干しを合わせたスープとあるように独特な風味と質感がある。独特の風味と感じるのは奥に隠れた香ばしさだ。ウンチクの中のスープの素材で香ばしさのあるものはない。牛アキレスを焼いてからスープを炊く事はないと思うので、鯛煮干しか牡蠣干しを炙っているのだろう。その香ばしさが特徴的だ。それとスープの質感にも独特な個性を感じる。見た目や口当たりからはサラリとした清湯スープと感じるが、スープには牛アキレス由来のコラーゲンが豊富に含まれている。それは唇の粘着度合いからも実証される。豚骨や鶏モミジとは異なる質のコラーゲンはクドさがなく身体中に染み渡る。カエシの地元天童産の醤油を使うなど山形の風土に合わせた仕上がりとなっている。麺は特注極細ストレート熟成麺となっているが、やや細めだが極細と言うほどではなく見える。麺上げまで40秒くらいでも柔らかさを押し出したタイプだ。箸で持ち上げても、しな垂れ掛かる麺質は好みとは違っていそうだ。細麺ならではのスープの中での麺の渋滞が気がかりだが、丁寧に整えられた麺線が流れの良さを生み出して心配は無用だった。口に運ぶと想像した通りの柔らかな口当たり。滑らかさは存分に発揮するが、歯切れや歯応えの面ではもの寂しい。しかし小麦の風味、特に甘みが素晴らしく内麦ならではの持ち味を打ち出す。具材は皮付き豚バラの煮豚式で、箸で掴んでもホロホロと崩れるくらいの柔らか仕上げ。赤身の繊維質はかろうじて残してあるが、脂身はとろけるような食感だ。本来は苦手な脂身のはずが、皮付きの豚バラなので香りが高く皮目の食感の強さが脂っぽさを軽減してくれる。また厚切りなので赤身の旨みも感じられた。追加の味玉は悲しくも、淡い色付き玉子だった。白身の表面にだけ浸みた漬けダレでは熟成感は生まれてこない。あっさりを狙った店の思いと私の味玉観は違っていて残念だが仕方ない。明日からも好みの熟成味玉を探し求めていく。それに反して穂先メンマは好みにドンピシャだった。下処理で素材の発酵臭を取り除きすぎずに独特の香りを残してある。その香りを引き立てる程度の味付けも素晴らしい。根元には歯応えを感じながらも穂先にかけての繊維がほどけていく食感のグラデーションの心地よさはパーフェクト。しかも二本も入っているとは喜びでしかない。薬味はひとくち目で感激した「寅ちゃん葱」だがラーメンを食べている最中にも持ち味を存分に発揮していた。麺を啜っては葱を口の中に入れ、また麺を啜っては葱を入れる。麺の足りない食感を葱がアクセントを付ける動作の繰り返しをしていたのだが、いつしか動作が逆転していたのだ。葱を噛んで香りが口の中に満ちた状態で麺を啜る。全てを飲み込むとまた、葱を噛んで風味を感じながら麺を啜るといった動作にいつしか変わっていたのだ。もはや麺が主役ではなく、脇役の葱が主役となっていた。葱増し無料らしいので途中で追加したいほどに寅ちゃん葱の虜になっていた。もちろん素材の良さだけではなく、工夫された切り方の違いにも職人魂を感じた。特に甘みの強い芯の部分は粗めに刻んで、トロッとした食感と甘みを生んでいる。順調に食べ進めてきたが後半あたりからは甘すぎる葱が仇となって襲ってきた。牛アキレスのスープの甘みに豚バラ焼豚の脂身の甘み、そこに加わる葱の甘みが重たさを感じ始めた。それが旨みでもあるのだが、カエシの醤油に酸味がないのでキレがなく感じる。個人的には葱の甘みを活かすなら、スープや香味油の甘みは少ない方が引き出されそうに思える。液面に浮かんだ葱を残らず食べたいのだが、レンゲですくうと甘い香味油も一緒に入ってくる。結果として葱を食べ切ることもスープを飲み干すことも出来ずにレンゲを置いた。好みとしては葱の旨さは文句なしにトップレベルだ。これでスープにキレと麺に強さがあったなら具材要らずのシンプルなネギラーメンでも大満足に違いない。すごく繊細な葱だと思うが、どんなスープや麺にも負けない力を持っていると思うので、色んなタイプのスープや麺とのマッチングを試して欲しいと心から願う一杯でした。
〝花のお江戸で錦を飾ろうツアー〟
と題して、今週は東京進出組にスポットライトを当ててみる。昨日の滋賀県から乗り込んできた「近江熟成醤油 十二分屋 早稲田店」に続いて初訪問を決めたのがコチラだ。
RDBのお店情報では山形県天童市からの初進出となっている。しかも今年オープンしたばかりの新店舗のようだ。葱屋が母体となっているが、葱好きにはたまらない情報を得て店へと向かった。
自宅でのんびりしているうちに、お昼時を迎えてしまった。こちらの御茶ノ水界隈のランチタイムはサラリーマンと学生が入り混じる激戦区なので、少し時間をずらして午後1時に家を出た。最寄駅ではないようだがアクセスの良い半蔵門線で神保町駅に向かい、そこからは歩いて店を目指す。
10分以上も歩くことになったが馴染みのある通りに着いた。この通りにある焼肉屋には15年近く前になるが引っ越す以前は足しげく通っていたのだ。当時よりも年季の入った看板を懐かしく見ながら先へと進むとコチラがあった。この短い通りの中にはラーメン、カレー、蕎麦、ハンバーガー、とんかつ、ビストロ、焼肉と目移りしそうなランチ天国なのだ。そんな激戦区に挑んできた天童の魅力を楽しみに扉を開けた。
入店すると券売機の前で品定めをする。筆頭に挙がるのは塩系だが、好みの醤油系に味玉付きのお題を押す。ホールスタッフの女性に食券を手渡しカウンターに座り店内を見回す。わずか6席のカウンターだけの店内を本日は三人体制で回している。白を基調とした白木を活かしたお洒落な内装だ。スタバ風の黒板には葱のイラストや夜営業のお知らせが書かれてある。調理場に目をやるとラーメン店ではあまり見かけない大型の角せいろ蒸し器が置かれてある。メニューには葱を使った饅頭があるので必要なのだろうが、席数に見合わない大きさだ。冬場の持ち帰りを想定してかもしれない。告知によると夜の部は立ち飲み屋としての営業になるらしい。葱を使ったつまみで一杯やるのも悪くない。そんな事を考えながら待っていると着席して5分で我が杯が到着した。
それはタコ唐草の切立丼で供された。タコ唐草の反高台丼はよくあるが切立丼は珍しく思う。その中の姿は、器の青に褐色のスープ、そこに真っ白な葱のコントラストの美しさに目を奪われる。
まずはスープからと普段ならいくところだが、今回は葱からひとつまみしてみる。惜しげもなく口に運ぶと驚くほどの甘さが広がる。ウンチクに書かれている事は大げさではなく果物のような糖度だ。さらには軽やかな香りと歯ざわりが心地よい。この葱を引っさげての東京進出ならば間違いないと、たったひとくちの葱だけで確信した。
爽やかな葱の香りを口内に残しながらスープをひとくち。先頭に立つのは香味油の甘みだった。多めに表層を覆った香味油からはオイリーな甘みの印象が強い。ウンチクにもあるように牛アキレスの動物系スープと昆布や牡蠣、鯛煮干しを合わせたスープとあるように独特な風味と質感がある。独特の風味と感じるのは奥に隠れた香ばしさだ。ウンチクの中のスープの素材で香ばしさのあるものはない。牛アキレスを焼いてからスープを炊く事はないと思うので、鯛煮干しか牡蠣干しを炙っているのだろう。その香ばしさが特徴的だ。それとスープの質感にも独特な個性を感じる。見た目や口当たりからはサラリとした清湯スープと感じるが、スープには牛アキレス由来のコラーゲンが豊富に含まれている。それは唇の粘着度合いからも実証される。豚骨や鶏モミジとは異なる質のコラーゲンはクドさがなく身体中に染み渡る。カエシの地元天童産の醤油を使うなど山形の風土に合わせた仕上がりとなっている。
麺は特注極細ストレート熟成麺となっているが、やや細めだが極細と言うほどではなく見える。麺上げまで40秒くらいでも柔らかさを押し出したタイプだ。箸で持ち上げても、しな垂れ掛かる麺質は好みとは違っていそうだ。細麺ならではのスープの中での麺の渋滞が気がかりだが、丁寧に整えられた麺線が流れの良さを生み出して心配は無用だった。口に運ぶと想像した通りの柔らかな口当たり。滑らかさは存分に発揮するが、歯切れや歯応えの面ではもの寂しい。しかし小麦の風味、特に甘みが素晴らしく内麦ならではの持ち味を打ち出す。
具材は皮付き豚バラの煮豚式で、箸で掴んでもホロホロと崩れるくらいの柔らか仕上げ。赤身の繊維質はかろうじて残してあるが、脂身はとろけるような食感だ。本来は苦手な脂身のはずが、皮付きの豚バラなので香りが高く皮目の食感の強さが脂っぽさを軽減してくれる。また厚切りなので赤身の旨みも感じられた。
追加の味玉は悲しくも、淡い色付き玉子だった。白身の表面にだけ浸みた漬けダレでは熟成感は生まれてこない。あっさりを狙った店の思いと私の味玉観は違っていて残念だが仕方ない。明日からも好みの熟成味玉を探し求めていく。
それに反して穂先メンマは好みにドンピシャだった。下処理で素材の発酵臭を取り除きすぎずに独特の香りを残してある。その香りを引き立てる程度の味付けも素晴らしい。根元には歯応えを感じながらも穂先にかけての繊維がほどけていく食感のグラデーションの心地よさはパーフェクト。しかも二本も入っているとは喜びでしかない。
薬味はひとくち目で感激した「寅ちゃん葱」だがラーメンを食べている最中にも持ち味を存分に発揮していた。麺を啜っては葱を口の中に入れ、また麺を啜っては葱を入れる。麺の足りない食感を葱がアクセントを付ける動作の繰り返しをしていたのだが、いつしか動作が逆転していたのだ。
葱を噛んで香りが口の中に満ちた状態で麺を啜る。全てを飲み込むとまた、葱を噛んで風味を感じながら麺を啜るといった動作にいつしか変わっていたのだ。もはや麺が主役ではなく、脇役の葱が主役となっていた。葱増し無料らしいので途中で追加したいほどに寅ちゃん葱の虜になっていた。もちろん素材の良さだけではなく、工夫された切り方の違いにも職人魂を感じた。特に甘みの強い芯の部分は粗めに刻んで、トロッとした食感と甘みを生んでいる。
順調に食べ進めてきたが後半あたりからは甘すぎる葱が仇となって襲ってきた。牛アキレスのスープの甘みに豚バラ焼豚の脂身の甘み、そこに加わる葱の甘みが重たさを感じ始めた。それが旨みでもあるのだが、カエシの醤油に酸味がないのでキレがなく感じる。個人的には葱の甘みを活かすなら、スープや香味油の甘みは少ない方が引き出されそうに思える。液面に浮かんだ葱を残らず食べたいのだが、レンゲですくうと甘い香味油も一緒に入ってくる。結果として葱を食べ切ることもスープを飲み干すことも出来ずにレンゲを置いた。
好みとしては葱の旨さは文句なしにトップレベルだ。これでスープにキレと麺に強さがあったなら具材要らずのシンプルなネギラーメンでも大満足に違いない。すごく繊細な葱だと思うが、どんなスープや麺にも負けない力を持っていると思うので、色んなタイプのスープや麺とのマッチングを試して欲しいと心から願う一杯でした。