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「特製醤油そば ¥1000」@中華そば 和渦 TOKYOの写真平日 晴天 10:40 先待ち1名 後待ち3名

〝ニューオープン狙いうち〟

RDBの新店情報を頼りに新規開拓を進めていくも、なかなか私の偏った趣向に合う新店が見つからない。そんな中で本日は大本命であるコチラへの初訪問を決めた。今月のオープン当日から移転の情報は知っていたのだが、日々増え続けるレビュー数を見て人気の高さから訪問を先送りにしていたのだ。その大本命というのも移転前の大井町時代に食べたラーメンが、塩分が過ぎた事以外は素晴らしい仕上がりだったと記憶しているからだ。

そろそろオープン特需も落ち着いてきたのではないかと思い、ようやく重い腰を上げる事にした。移転先は北品川駅の近くのようだが、自宅からでは乗り換えを複数回しなければ辿り着けない。そこで大好きな路線バスにて、乗り換え要らずのルートを利用する。11時開店前の早めの現着を目指して9時半には家を出た。すぐに東急バス 渋41系統 大井町駅行きに揺られること40分程で新馬場駅バス停に着いた。バスを降りると目の前の圧巻の光景に息を飲んだ。それは品川埠頭へと向かう20台以上のゴミ収集車の車列だった。もし自分が幼い頃なら〝はたらくくるま〟の大渋滞を目の前にして興奮した事だろう。そんな中を北品川駅方向へ8分も歩けば目印のガススタンドが見えてきた。その裏手に以前とは打って変わった派手な看板を掲げた店を見つけた。

開店祝いの花が飾られたアプローチから二階へと続く階段を登ると、開店20分前でも並びが発生していた。なんとか二番手をキープして階段の手すりにもたれて待機する。この階段での外待ちならば 4,5名ならば雨天でも濡れることはなさそうだ。マンションの扉のような入口には店名の「中華そば 和渦 TOKYO」と書かれている。大井町からTOKYOへと大きな変化を遂げたが、競馬場ならば大井と東京ならば3倍近くの入場者数の違いである。

そんなつまらない事を考えていると定刻になりオープンとなった。この時の行列は私を含めて5名だけとオープン直後の賑わいは少し落ち着いたのだろうか。

真っ黒な重たい扉が開くと明るい店内がまぶしく見える。さっそく券売機でトップを飾るお題を発券する。券売機の下の方に目をやると50円のご飯物が充実している事に驚いた。そのラインナップの豊富さにはダイニング的な要素も感じられた。それはまるで日本中を席巻した〝ちゃんこダイニング 若〟を思わせる〝らーめんダイニング 和渦〟のようである。

客人が思い思いの場所に座れるシステムのようで、ゲストファーストの思いがうれしい。好きなカウンターに腰を下ろし店内観察を始める。客席にはテーブル席を多く設けた広々とした店内だ。明るい木目調の中に、ミントカラーの差し色が清涼感をもたらしている。調理場内に目をやると、大井町時代とは比べものにならない厨房設備の充実ぶりだ。しかし中古機器を活用するなどして設備費を抑える努力も素晴らしい。その分を抑えた経費をつぎ込んで導入されたであろう超高級製麺機、その名も〝リッチメン〟が調理場の奥に鎮座している。以前とは大きく調理場や客席の様子は変わったが、どことなくホッと落ち着くような暖かい雰囲気は以前のままだ。そんな店内を本日は三人体制で回している。お洒落な内装に合わせて新調されたコックコートも様になっているご主人が調理のほとんどを担っている。助手やホールスタッフとの連携に、さらなる経験が重なれば鬼に金棒の布陣に思える。

壁一面の大きな窓が明るい光を取り込める物件を選ばれたご主人の思いを感じながら待っていると、着席して5分の第1ロットにて我が杯が到着した。その姿は、以前の受け皿スタイルをやめた反高台丼の中で美しくも素朴な表情で迎えてくれる。

まずは葡萄色のスープをひとくち。偏平的に液面を薄っすらと鶏油が覆っているが控えめな印象を受ける。レンゲを沈めてスープの香りを確かめると、ウンチク通りに鶏と和風のWスープを感じるが、少しばかり魚介出汁の中でも鰹節の香りが優先しているだろうか。いざ口に含むと厚みのある芳醇な丸鶏主体のスープが旨みの土台を築き、穏やかな魚介出汁の旨みと香りが重なっている。そこに複雑な醤油ダレが風味やキレを与えている。スープの色調と同じく醤油の輪郭をハッキリとさせた醤油ダレではあるが懸念されたカエシの塩分は抑えてあり、なだらかなプロローグを迎える事ができた。

それでは、お待ちかねの〝リッチメン〟から生み出された自家製麺を箸で持ち上げてみる。全粒粉のフスマを散りばめた中細ストレート麺は麺上げまで実質100秒。タイマーは90秒にセットされているがワンタンを引き上げたりとタイムラグが10秒ほどあったが、それも計算に入れての事だろう。箸先からは密度の高そうな手応えと、エコ箸では捕らえずらい程の滑らかさを感じている。口に運ぶと思った通りの麺肌が心地良く滑り込んでくる。ハリのある麺質を確認したところで噛んでみると、苦手な歯応えに襲われた。それは奥歯の咀嚼から逃げようとする歯切れの感覚だ。きしむような食感の麺が得意でないので私には少し合わなかった。自分の中で最近は平打ち麺ブームが訪れているだけに対照的に思ってしまった。しかし歯ざわりを除けば小麦の香りや甘みもふんだんに表現させてあり、このタイプの麺が好きな方には最良の麺質だと思える。

特製ならではの具材はボリューム感満載だ。チャーシューは二種類の部位違いで三枚入っている。豚肩ロースのレアチャーシューが二枚。低温調理を熟知された半ナマ焼豚とは違う仕上がりになっている。うす味仕立てで赤身本来の肉質を楽しむ仕様となっている。一方の豚バラ焼豚はロースト型と思われるが、脂身が噛み切れずに口にスジが残ってしまうテクスチャーが残念な出来だった。味付けは豚バラ焼豚の方が好みだっただけに惜しく思えた。

餡違いの二個入りのワンタンは皮の抜けるような透明感が美しい。その薄皮を介して浮かび上がる肉餡も程よい大きさで食欲をそそる。先に鶏肉餡から噛んでみるとハーブの香りが優しく香った。豚肉餡の方は生姜やネギの香味野菜の印象が強く残った。どちらも残ったワンタン皮は口に入ると存在を消すかの如く喉の奥へと滑り落ちていった。こんな喉ごしの良いワンタン皮も自家製ゆえの産物なのだろう。

半個入りの味玉は好みの熟成度までは達していないものの、卵本来の甘みを引き出す程度の漬け込みがラーメンの中では活き活きとして感じた。下茹での丁寧さも見た目から伝わって職人気質を思わせる。

前店から引き続き穂先メンマを採用されているが、過度な味付けをせずに麻竹の持つ野趣あふれる香りを押し出してある。ベストな状態に残された食感も下処理の丁寧さを物語っている。

薬味もシンプルに白ネギと三つ葉の鶏系スープには欠かせない名コンビ。白ネギの小口切りの切り口の繊細からは包丁の手入れの良さが分かる仕上がり。シャキシャキと音を立てるような白ネギは香りと共に食感でもサポート役を大いに演じている。また三つ葉のカットの大きさもスープに入り込みすぎずに存在を消しながらも、ときおり口にすると滋味にあふれる香りでアクセントを加えてくれる名脇役。

序盤から麺を噛み切ることをやめて、啜っては飲み込むという讃岐人のうどん喰いスタイルに変更して完食完飲というエピローグを迎えた。今回の麺は好みとは違っていたが、今後も数々の自家製麺を作り出してくれると思うと期待感しかない。そんな新たな麺の中に、弾けるようなグルテンを含んだ麺が商品になる事があれば何を差し置いても、嫁を質に入れてでも駆けつけたいと心から思った一杯でした。

※ 店を出て北品川駅に渡る歩道橋でRDBの御大とすれ違ったが、雑誌等でお見かけして勝手に親近感を持っているのはこちらだけなのでおこがましく思い、お声をかける事はできなかった。

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