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「ポルチーニ香る我飯醤油らーめん ¥800+味玉 ¥100」@麺道 わがまんまの写真平日 晴天 13:20 先客5名 後客2名

〝ニューオープン パトロール〟

本日の二食目として選んだのは、先程の京成立石での前食の店からもアクセスの良いコチラなのだ。昨晩から練っていた連食計画なので移動手段は調べておいたが、肝心のお店情報が少ない。お店情報のメニュー欄には不得手なタイプの洋物食材を使ったラーメンしか書かれておらず、基本の醤油ラーメンがあるかも分からずに初訪問を決めていた。

一食目を食べ終えて立石の商店街を散策して消化を促しながら二時間ほど経過すると、ようやく連食スペースが空いてきたので京成線を乗り継いで最寄りの京成金町駅に10分ほどで降り立った。もしかしたら人生初かもしれない金町駅前は再開発が進んでおり多くの重機が動いている。そんな変わりゆく景色を見ながらJR金町駅を通り抜けて、数分も歩くとマンションの一階のスーパーの先に開店祝いの花が並んだ店先を見つけた。

グランドオープンして一週間も経ってないのでオープン特需を予想して、昼ピークを過ぎても行列を覚悟して来たが店頭に並びはなくすんなり入店となった。店内にと入口左手のマミヤオプション製の小型券売機から品定めをするが、わずかな期待を裏切ってシンプルな醤油系ラーメンはなかった。二大看板メニューの中からカタカナ食材の表記はあるが、止むを得ず発券ボタンを押した。下部にあったトッピングの味玉も追加発券してカウンターに腰を下ろした。

食券を手渡すといつものように店内を見渡してみる。知っている情報では千葉県 鎌ヶ谷から移転されて来たようで、厨房内の設備からも新しさと古さが入り混じった様子が分かる。ピカピカのステンレス製の換気ダクトがあるかと思えば、年季の入った茹で麺機があったりと移転前の厨房機器も持ち込まれている。カウンターだけの店内を店主さんお一人で切り盛りされているが、細かな仕事にもこだわりが見られてラーメンに対する期待も高まる。本日の客層はご近所さんが多いと思われラフなスタイルの方がほとんどで、よそ者らしき客は私くらいである。店内観察に気づかれないように何気なく待っていると、着席して5分のワンロット3杯の中のひとつとして我が杯が到着した。別皿で供された味玉も記念撮影用にラーメンの中に盛り付けた。

その姿はスープが飲みづらいと物議を醸してしいる口縁が大きく反り返った白磁のオシャレ鉢の中で、私の望む醤油ラーメンとは異なる世界観を見せている。醤油ラーメンの何が基本なのかは分からないが、明らかに懐かしさや郷愁を誘う風景でない事は確かだ。しかし本日の出会いが新たな醤油ラーメンへの扉を開けてくれるかもしれないと思い、心を無にしてレンゲを手にした。

まずは赤香色のスープをひとくち。表層に散らばった香味油のドットがポップに映えるスープにレンゲを沈めると、タイトルにあるポルチーニ茸ではないキノコの香りがフワッと立ち昇った。その複雑なキノコの香りの向こうには動物系由来の出汁の香りも存分に感じられる。香りだけの相性ならば間違いないが、保守派の私はラーメンには違和感を感じてしまうのも事実なのだ。そんな不安を抱えながらレンゲを手にしてスープを口へと運んだ。若干オイルの強さが先行して入ってくるが、油っぽい感じではなく〝潤い豊か〟の表現の方が正しく思える。口の中に行き渡った香味油と香りが膜を張ると、土台にある動物系清湯スープが旨みの基礎だと感じられる。そんなイノシン酸とグアニル酸が重なりあったスープに輪郭をつけているのが、見た目の色素からも白醤油ベースと思われる醤油ダレだ。そのカエシに含まれていると思われるグルタミン酸からは、昆布を合わせた白醤油ダレではないかと推測する。いずれにしろ、それぞれの旨みのスパイラルが極上スープの基礎となっている。この時点では洋物食材の風味が少なく私にはとっては穏やかな幕開けとなり一安心した。

続いて麺を箸で拾い上げてみると、麺上げまで実質70秒程度の中細ストレート麺には眼を見張るような透明感がある。そして少しばかりウェーブのかかった麺質からも、しなやかな女性的な麺に見受けられた。澄みきったスープの中で優雅に泳ぐ透明感のある麺肌との組み合わせには、はやる気持ちを抑えられずに麺をすすっていた。透明感の理由でもある麺肌に溶け出したグルテンとスープの香味油が潤滑油となって、勢いよく滑り込んできた麺のすすり心地は上質の絹のようで心に残る。すすった際の吸気に伴うキノコの香りが気にはなるが、過剰な訳ではないのでまだ助かった。食べ応えとしては物足りなさもあるが、スープとの相性を考えればベストな組み合わせに思える良麺だ。

具材は低温調理の豚肩ロースのレアチャーシューだが、提供時にはすでにスープ加熱で美しいロゼ色を失いかけていた。スープからだけでなく盛り付け直前にバーナーで炙られていたので、そこが店主さんの狙いなのだろう。半ナマチャーシューが嫌いなので加熱自体は問題ないが、スープに灰汁が浮かんできたのは残念だった。それでも切り立てチャーシューにこだわった点は素晴らしく高評価だ。かなりの薄切りで下味も薄めなので、薬味と彩り役としてのピンクペッパーを巻き込んで食べる事で清涼感と軽やかな刺激がアクセントとなってくれた。本来は不必要に思っている粒コショウ類も、このラーメンにならば必要性を大きく感じる薬味と知った。

追加した味玉は提供温度の冷たさだけが気になったが、半熟加減や熟成具合は申し分なく追加して良かったと思える仕上がりの味玉だった。それだけに温め直されていたなら黄身の旨みもより濃く味わえた気がして残念だ。

具材としても香り付けの薬味としての両面で活躍を期待されるエリンギとしめじのガーリックソテーには個人的に高望みをしてしまった。店主さんは意図して軽めのソテーに抑えているのだと思うが、もっとキノコの水分を飛ばして軽く焦げ目を付けた方が香りも旨みも引き出されると思った。適度に焦げたキノコ類の凝縮した旨みは、他の食材では表現できない独特の味わいを持っている。強い風味を嫌っての仕上げ方ならば仕方ないが、勝手な欲が出てしまった。

青みのスプラウトは口にするまでは豆苗とばかり思っていたが、食べてみると豆特有の香りがしないので別種の新芽のようだ。最後まで何のスプラウトかは判断できなかったが、個性的な青っぽい風味があり麺とスープとの相性は抜群でシャキッとした歯触りの良さも発揮していた。そこにはワンオペながらもスプラウトですら切り立てにこだわっているご主人さんの思いが溢れている。

中盤からは否応なしにスープに溶け出してきたポルチーニペーストだが、それは私がラーメンの中で最も必要としない洋物食材なのだ。最近よく使われているのがトリュフ風味の〝タルトゥファータ〟だが、トリュフよりもシャンピニオンやニンニクの香りが強くスープの香りを超えたアピールをしてくる事が多い。それに比べるとこちらで使われているムース状のポルチーニペーストからは、過剰な香りを感じないので動物系スープに寄り添っていると思えた。世の中の大半のラーメン店は市販のトリュフシャンピニオンの缶詰を使っているが、そこには大量の塩分も含まれるので加える事で香りだけでなく塩気もプラスしてしまうのが常だったのだ。しかし、こちらのようなセップ茸のムースならば塩分も少なく許容範囲内の香りだけの洋風アクセントに思えた。

本来はIT系清湯おじさんなので新手なタイプのラーメンには非常に評価が低かったのだが、今回はポルチーニペーストがスープと混ざった後も塩分過多になる事がなく食べ進められた。そうなると評価を著しく下げる要素がないので、私にとってニューワールドのラーメンとしては初の80点越えとなった。

器の形状上の問題でスープを飲み干すことは出来なかったが、偏った趣向のおじさんの意識改革をしてくれた事には大変ありがたく思えた一杯でした。

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