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平日 晴天 9:40 先待ち1名 後待ち1名今年も残り少なくなってきた師走の空の下、のんびりとした毎日に刺激を与えようと〝今年の店は今年のうちに〟と言うことで平成最後の歳末総決算として今年オープンした新店限定で未訪問の店を年内にどれだけ多く廻れるかを実行中なのだ。それによって師走の慌ただしさを少しは感じられるのではないかと店探しを始める。候補店はいくらでもあるがRDBの皆さんの写真などを参考にして本日の目的地に選んだのが7月13日オープンのこちらだ。何でも情報によると〝内麦〟に特化したアンテナショップのようで週替わりで料理のジャンルを問わずイートインが開催されているようだ。以前にもこちらの情報は入っていて余りに気になっていなかったのだが今回は埼玉の雄である「寿製麺 よしかわ」さんが出店されているとなれば何としても行かねばならぬと開店前の現着を目指して銀座線 渋谷駅に向かった。日中の銀座線 渋谷駅とは全く違う朝のラッシュの光景を初めて見た。三階に上がる階段は一階にまで人が溢れている。事故でもあったのかと思ったが周囲は平然と当たり前のように一歩ずつ進んで行く。10分以上かけて三階の改札にたどり着き人混みのホームに押し出された。6両編成の短い銀座線は短い間隔で乗客を必死で吐き出していく。少しだけ師走の慌ただしさを味わえた。銀座で丸ノ内線に乗り換えると目的地の淡路町に着いた。地上に出て靖国通りを進むと小川町交差点名物の顔のYシャツのユニークな看板の脇にこちらがあった。10時開店の20分も前の現着だったがすでに並んでいる人がいた。その方に続いて二番手をキープし本日のお題を品定めする。店頭には牡蠣100%らーめんの幟が立っているのでオススメなのだろうが貝出汁耐性が弱く午前10時の胃袋には刺激が強すぎるのではないかと躊躇してしまう。定刻通りに開店となり入店。入口レジでのデポジット方式でレジ上のメニューを見ると「牡蠣」「しじみ」「濃厚煮干し」と耐性のないメニューばかりが並んでいる。こうなれば朝の胃袋に無理をさせるのを承知で牡蠣そばを選択し味玉を追加した。リプライコール用のベルを手渡されテーブル席にて待機する。店内は広めのカフェのような空間でピーク時には近場のOLさんで賑わっている様子が想像できるオシャレな装い。コンパクトにまとまった厨房を見るとご夫妻直々のツーオペで切り盛りされている。アンテナショップだが厨房設備は整っているように見えた。全てがセルフ方式なのでホールスタッフはレジの女性だけのようだ。内麦の店だけに麦茶にもこだわっていて麦茶の種類も週替わりのようだ。本日の麦茶も派手さはないがほんのりとした甘みがあり胃袋を少し目覚めさせてくれた。着席して4分ほどでリプライコールが鳴った。キッチン前のカウンターで商品を受け取り再び席に戻り我が杯を眺める。よしかわさんの丼ではなくアンテナショップオリジナルの白磁の鳴門丼の中の姿はノーブルな色彩のグラデーションにパステルな焼豚とボタニカルな三つ葉のアクセントカラーが目を惹く悩ましき造形美。普段はあまり目にしないタイプの容姿だが思わず一目惚れしてしまった。まずは牡蠣由来のコハク酸が濁りを与える薄香色のスープをひとくち。一瞬で海の中に引きずり込まれたような海底の景色が口中に描かれる。口内だけでなく朝の寝ぼけた細胞のひとつひとつに染み渡っていくのを感じられる。貝類の出汁に見られがちな塩気の強さも感じないのはカエシの塩分をほとんど足していないのではないかと思うほどに抑えてある。このスープならば朝イチの身体にも受け入れられる上品な吸い地でホッとした。薄っすらとした香味油も植物性なのか過度なコクは出さずにオイル感も少ないのでサッパリとしている。こちらの麺は強いハリとコシが持ち味なのだが牡蠣そばに適用された麺はひとあじ違った中細ストレート麺だった。透明感の中にフスマの粒が見られる麺はハリとコシを抑えた仕上がりで小麦のグルテンを感じやすい柔らかめな茹で加減だった。口当たりや喉ごしよりも優先しているのは小麦の香りと甘みを引き出す事のように思えた。噛むたびに溢れる甘みは内麦の良さを発信するのに相応しい麺だ。この内麦の自然な甘さを引き出しているのはスープの自然な塩気で、この方程式に気が付いた後は箸が止まらなくなっていた。具材は定番の豚肩ロースの低温焼豚はお決まりの二段重ねで盛られてある。先にスープに浸されず美しいロゼ色を保つレアチャーシューは安定感のあるマリネ液が浸透しているのでレアだが生っぽさは感じない。そのロゼ色を守るために下で支えていたもう一枚の焼豚はスープの熱で変色してレアではなくなっているが赤身の繊維質がハッキリと分断して新たなテクスチャーを生んでいる。タンパク質が熱変化した豚肉ならではの旨みがあり、これまた素晴らしいが牡蠣スープとの相性は抜群と言うほどではないかなと思う。今回のスープとともに最大の特徴である具材の牡蠣は大ぶりとまではいかないが中々のサイズの物が四個も添えてある。やはり牡蠣自体の旨みはスープに奪われてしまって具材としての価値は下がってしょうがないが牡蠣を噛んで中の内臓の色を見た時に良質な漁場で育てられた牡蠣なのが分かった。腸の中には深緑の内容物が大量に詰まっていた。これは牡蠣のエサである海藻が豊富な証であり、さらにたどれば良質なプランクトンが繁殖するミネラル豊かな海と言える。そんな中で育った牡蠣ならではのエキスがスープに溶け出した後なので旨みが残ってなくて当然なのかも。その物足りなさを薬味の三つ葉と合わせて食べる事で少し解消できた。メンマはお得意の太メンマではなく麺の柔らかさに合わせた細切りタイプ。繊維を感じるも柔らかくほどけていくメンマは麺の食感の邪魔をせず寄り添うように消えていく。このあたりの計算が感動させられる理由のひとつだ。追加した味玉は通常のものよりも熟成が増しているように思えた。白身にまで浸透した唯一の醤油味がアクセントになり黄身の熟れた甘みが口の中にまとわりつく。そこにスープの塩気を注ぐと更に甘みが増す幸福のルフランが生まれる。薬味は先ほどの具材の牡蠣を食べる時に好演してくれた三つ葉と海苔が大きく添えてある。海苔の風味とスープの相性は疑う余地がない。この磯の風味の中に溺れてしまいそうだ。私の生活リズムの中では早朝に位置する時間帯なのに一気にスープも残さず平らげた。貝類のコハク酸特有の喉に張り付く執拗な塩分も旨味も感じずに丼を置いた。深海のような旨みはあるのに後味がサッパリするように書かれた設計図には感動すら覚えた。本当に欲を言うなら具材の牡蠣にプリッとした食感が欲しいので別トッピングでもいいから殻付きで焼いた焼き牡蠣ひとつ添えてあったら更に極上の至福が待っていそうだと想像した一杯でした。
今年も残り少なくなってきた師走の空の下、のんびりとした毎日に刺激を与えようと
〝今年の店は今年のうちに〟
と言うことで平成最後の歳末総決算として今年オープンした新店限定で未訪問の店を年内にどれだけ多く廻れるかを実行中なのだ。それによって師走の慌ただしさを少しは感じられるのではないかと店探しを始める。
候補店はいくらでもあるがRDBの皆さんの写真などを参考にして本日の目的地に選んだのが7月13日オープンのこちらだ。何でも情報によると〝内麦〟に特化したアンテナショップのようで週替わりで料理のジャンルを問わずイートインが開催されているようだ。以前にもこちらの情報は入っていて余りに気になっていなかったのだが今回は埼玉の雄である「寿製麺 よしかわ」さんが出店されているとなれば何としても行かねばならぬと開店前の現着を目指して銀座線 渋谷駅に向かった。
日中の銀座線 渋谷駅とは全く違う朝のラッシュの光景を初めて見た。三階に上がる階段は一階にまで人が溢れている。事故でもあったのかと思ったが周囲は平然と当たり前のように一歩ずつ進んで行く。10分以上かけて三階の改札にたどり着き人混みのホームに押し出された。6両編成の短い銀座線は短い間隔で乗客を必死で吐き出していく。少しだけ師走の慌ただしさを味わえた。銀座で丸ノ内線に乗り換えると目的地の淡路町に着いた。地上に出て靖国通りを進むと小川町交差点名物の顔のYシャツのユニークな看板の脇にこちらがあった。
10時開店の20分も前の現着だったがすでに並んでいる人がいた。その方に続いて二番手をキープし本日のお題を品定めする。店頭には牡蠣100%らーめんの幟が立っているのでオススメなのだろうが貝出汁耐性が弱く午前10時の胃袋には刺激が強すぎるのではないかと躊躇してしまう。
定刻通りに開店となり入店。入口レジでのデポジット方式でレジ上のメニューを見ると「牡蠣」「しじみ」「濃厚煮干し」と耐性のないメニューばかりが並んでいる。こうなれば朝の胃袋に無理をさせるのを承知で牡蠣そばを選択し味玉を追加した。リプライコール用のベルを手渡されテーブル席にて待機する。
店内は広めのカフェのような空間でピーク時には近場のOLさんで賑わっている様子が想像できるオシャレな装い。コンパクトにまとまった厨房を見るとご夫妻直々のツーオペで切り盛りされている。アンテナショップだが厨房設備は整っているように見えた。全てがセルフ方式なのでホールスタッフはレジの女性だけのようだ。内麦の店だけに麦茶にもこだわっていて麦茶の種類も週替わりのようだ。本日の麦茶も派手さはないがほんのりとした甘みがあり胃袋を少し目覚めさせてくれた。
着席して4分ほどでリプライコールが鳴った。キッチン前のカウンターで商品を受け取り再び席に戻り我が杯を眺める。よしかわさんの丼ではなくアンテナショップオリジナルの白磁の鳴門丼の中の姿はノーブルな色彩のグラデーションにパステルな焼豚とボタニカルな三つ葉のアクセントカラーが目を惹く悩ましき造形美。普段はあまり目にしないタイプの容姿だが思わず一目惚れしてしまった。
まずは牡蠣由来のコハク酸が濁りを与える薄香色のスープをひとくち。一瞬で海の中に引きずり込まれたような海底の景色が口中に描かれる。口内だけでなく朝の寝ぼけた細胞のひとつひとつに染み渡っていくのを感じられる。貝類の出汁に見られがちな塩気の強さも感じないのはカエシの塩分をほとんど足していないのではないかと思うほどに抑えてある。このスープならば朝イチの身体にも受け入れられる上品な吸い地でホッとした。薄っすらとした香味油も植物性なのか過度なコクは出さずにオイル感も少ないのでサッパリとしている。
こちらの麺は強いハリとコシが持ち味なのだが牡蠣そばに適用された麺はひとあじ違った中細ストレート麺だった。透明感の中にフスマの粒が見られる麺はハリとコシを抑えた仕上がりで小麦のグルテンを感じやすい柔らかめな茹で加減だった。口当たりや喉ごしよりも優先しているのは小麦の香りと甘みを引き出す事のように思えた。噛むたびに溢れる甘みは内麦の良さを発信するのに相応しい麺だ。この内麦の自然な甘さを引き出しているのはスープの自然な塩気で、この方程式に気が付いた後は箸が止まらなくなっていた。
具材は定番の豚肩ロースの低温焼豚はお決まりの二段重ねで盛られてある。先にスープに浸されず美しいロゼ色を保つレアチャーシューは安定感のあるマリネ液が浸透しているのでレアだが生っぽさは感じない。そのロゼ色を守るために下で支えていたもう一枚の焼豚はスープの熱で変色してレアではなくなっているが赤身の繊維質がハッキリと分断して新たなテクスチャーを生んでいる。タンパク質が熱変化した豚肉ならではの旨みがあり、これまた素晴らしいが牡蠣スープとの相性は抜群と言うほどではないかなと思う。
今回のスープとともに最大の特徴である具材の牡蠣は大ぶりとまではいかないが中々のサイズの物が四個も添えてある。やはり牡蠣自体の旨みはスープに奪われてしまって具材としての価値は下がってしょうがないが牡蠣を噛んで中の内臓の色を見た時に良質な漁場で育てられた牡蠣なのが分かった。腸の中には深緑の内容物が大量に詰まっていた。これは牡蠣のエサである海藻が豊富な証であり、さらにたどれば良質なプランクトンが繁殖するミネラル豊かな海と言える。そんな中で育った牡蠣ならではのエキスがスープに溶け出した後なので旨みが残ってなくて当然なのかも。その物足りなさを薬味の三つ葉と合わせて食べる事で少し解消できた。
メンマはお得意の太メンマではなく麺の柔らかさに合わせた細切りタイプ。繊維を感じるも柔らかくほどけていくメンマは麺の食感の邪魔をせず寄り添うように消えていく。このあたりの計算が感動させられる理由のひとつだ。
追加した味玉は通常のものよりも熟成が増しているように思えた。白身にまで浸透した唯一の醤油味がアクセントになり黄身の熟れた甘みが口の中にまとわりつく。そこにスープの塩気を注ぐと更に甘みが増す幸福のルフランが生まれる。
薬味は先ほどの具材の牡蠣を食べる時に好演してくれた三つ葉と海苔が大きく添えてある。海苔の風味とスープの相性は疑う余地がない。この磯の風味の中に溺れてしまいそうだ。
私の生活リズムの中では早朝に位置する時間帯なのに一気にスープも残さず平らげた。貝類のコハク酸特有の喉に張り付く執拗な塩分も旨味も感じずに丼を置いた。
深海のような旨みはあるのに後味がサッパリするように書かれた設計図には感動すら覚えた。本当に欲を言うなら具材の牡蠣にプリッとした食感が欲しいので別トッピングでもいいから殻付きで焼いた焼き牡蠣ひとつ添えてあったら更に極上の至福が待っていそうだと想像した一杯でした。