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「はまぐり白湯ラーメン ¥1000」@東京Noodle Style エモラーの写真平日 曇天 13:30 先客なし 後客なし

〝ニューオープン パトロール〟

本日は午前中に隣駅の祐天寺で一食目を終えると、すぐさま学芸大学までひと駅だが東横線に乗ってきた。平日の長閑な駅周辺を散策しながら消化を促していると、偶然にも友人と出会った。久しぶりの再会だったのでランチでもと誘われたが、満腹と連食計画の為にせっかくのお誘いを断ってしまった。この時ばかりはラーメンの存在を恨んでしまった事は今となっては申し訳なく思う。

二時間も経過すると何とか胃袋にもスペースが空いてきたので、新店初訪問へと向かってみた。先日も新店がオープンしたばかりの同エリアを駅前から3分も歩くと路地裏に揺れる黄色い派手な幟旗が目に入った。居酒屋の間借り営業とは承知していたので店構えに驚く事はなかったが、あまりの閑散とした様子には身構えてしまった。のれん越しに見える居酒屋の店内には誰一人として客がおらず、営業しているかも不安になった。

店頭には営業中の立て看板も出ているので、中の様子を確認しながら入店した。すると奥の調理場のスタッフさんに気付いてもらえず「やってますか」と声を掛けてみると、慌てたように「いらっしゃいませ」とカウンターに案内された。どうやら仕込みの最中のようで背中を向けていたので気付かれなかったみたいだ。

間借り営業なので券売機はなく卓上メニューから品定めをするが、どちらも白湯系のようで初めてなのでトップを飾っているお題を告げてから店内観察をはじめる。内装はもちろん居酒屋そのものでラーメン店らしい要素はひとつもないが、厨房内を見ると麺茹で用に急遽置かれた大型の両手鍋が唯一のラーメン店らしい風景を見せている。そんな店内をお一人で切り盛りされているが、間借り営業での準備段階の慣らし運転と言った感じだろうか。

そんな店内で待っている間に、とても不快な臭いが厨房内から漂ってくるのには参っしまった。スープを炊いている臭いだとは思うが、換気ダクトが弱いのか強烈な異臭が鼻をつく。そんな獣臭さに包まれながら待っていると、着席して5分で我が杯が到着した。その姿は角盆に乗せられた白磁の鳴門丼の中でメニュー表記のままの景色を見せている。ハマグリとには見えない貝類と白湯の組み合わせ以外の何者でもない姿を見ながらレンゲを手に取った。

※ ここからは〝ハマグリ〟と〝ホンビノス貝〟は全く別物である事を思って記述している。

まずは象牙色のスープをひとくち。完全なる乳化を見せる液面にレンゲを落とし込んだだけで、立ち昇ってきたのはハマグリ由来ではない貝出汁の香りだ。店内に漂う獣臭からは鶏白湯主導の香りを想像していたが、いい意味で裏切られた感じだ。そんなスープを口に含むと、やはり店内の臭いが嘘のような臭みひとつない白湯スープの香りが花開く。実際には〝ハマグリ〟ではなく安価な〝ホンビノス貝〟を使われているのでメニュー表記とは異なるが、ウンチクには白ハマグリと明記されているが実際には〝ハマグリ〟とは無縁の〝大あさり〟を使用されている。たしかに鶏白湯とホンビノス貝の旨みが折り重なった迫力満点のスープではあるが、貝由来のラーメンにありがちな塩分過多も感じてしまう。懸念された臭みは無かったが、強い塩気に襲われてしまいスープを諦めた。

麺は少しのウェーブ状と微かな透明感を持ち合わせた中細ストレート麺で、麺上げまではジャスト50秒。持ち上げた箸先からは、軽やかさとグルテンの密度の高さの両方を感じられる中細麺だ。しなやかさを感じる麺をすすってみると、伴ってくるホンビノス貝の香りが更に強く感じられて個性の弱い麺を圧倒している気がする。麺が弱いのかスープが強いのかは分からないが、私は麺がもっと強気な個性を持ったタイプでも良いのではと思ってしまった。

具材となっているホンビノス貝はスープを取り終えた出汁ガラという感じはせずに、旨みもしっかりと残っていた。もちろんパサつきもなく、ぷっくりとした食感も残っていた。それはもしや具材の為だけに用意されたものではないかと感心してしまう程の仕上がりだった。

それに反して極太メンマは業務用味付きメンマを疑ってしまうような手作り感のない汎用的なメンマだった。どこでも味わえるような安定感はあるが店側の〝メンマ愛〟には欠けた残念な具材のひとつだ。

さらには青みの茹でホウレン草にも手仕事感はなく、業務用カットホウレン草をそのまま使われているような気がした。ホウレン草特有の香りや食感の全くない青み役ならば、添えてない方がマシに思える薬味だった。

そんな中でも素晴らしい働きをしていたのが味玉だった。基本の値段でも入っている味玉には正直言って大きな期待はしてなかったのだが、その仕上がりには眼を見張るものがあった。下茹での半熟加減も良い上に熟成度合いも申し分なく、それでいて黄身本来の甘みを残しつつ浸けダレの浸透によってゲル化した濃厚な旨みとなっている。そんなネットリとした黄身が口内に幕を張った所へ麺をすすり込むと、別世界の旨みが広がった。それは〝食べ物〟を〝食べ物〟で例えるのはナンセンスでしかないのを承知で言うと、それはまるで上質な親子丼のようだった。濃厚な卵の黄身と鶏出汁が生み出すハーモニーに貝出汁の強い旨みの和風出汁のテイストを加えると、甘みと塩味のバランスが整った親子丼の割り下のような旨みとなった。その瞬間に具材であるはずの味玉は、天然由来の調味料となっていると感じた。半カットされた味玉だったので、その至福の時を二度しか楽しめなかったが非常にありがたかった。

そんな勢いで麺は完食していたがスープの塩気の強さに押されてレンゲを置いた。ただ液面に浮かんだ薬味の刻みタマネギは質の良さと切り立ての鮮度の良さが切り口からも分かったので、大切に箸でつまんで甘みを楽しんで食べ切った。

現時点では間借り営業との事で具材や薬味の細部にまでは自家製を求めてはいけないのかもしれないが、スープにこだわりがあるのであれば将来的には全ての具材に手仕込みの味わいを感じてみたいと思ってしまった。

本来の評価はもっと良いと思われるが、どうしても店内の異臭が気になって採点は低くなってしまった。自己基準として環境や衛生面は採点に考慮しないと決めているのだが、やはり臭いは味の一部だと思っているので評価を下げてしまったのが本音となった一杯でした。

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